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ドコモ口座に預金不正流出、何が起きて、何が問題なのか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:西村尚己/アフロ)

 「ドコモ口座に預金不正流出 七十七銀、数人が引き出し被害」という記事が、7日に共同通信から流れていた。この記事が流れる前に、すでにツイッターで被害に遭った人から、この件についてツイートがあったので気になっていた。

 「メインバンクから、「ドコモコウザ」名義で、4回に渡って30万円ものお金が引きだされ、行方不明に。」

 「dポイント等を含めドコモ関連の契約経験が無いにもかかわらず被害に遭ってしまいました。」

 「dアカウント作成して、本人の名前でドコモ口座作成して引き出す手口のようです。本人が未開設でも起きます」

 上記のツイートがあったのだが、いったい何が起きていたのか。

 共同通信の記事によると、仙台市の七十七銀行で、NTTドコモの電子マネー決済サービス「ドコモ口座」を利用した不正な預金引き出し被害が発生したことが7日、分かったとある。

 七十七銀行のサイトでも、NTTドコモが提供する「ドコモ口座」において、不正に盗み出した口座番号やキャッシュカードの暗証番号等のお客さま情報を使用した当行口座の不正利用が発生しました、とのお知らせがサイトに掲示されていた。

 今回の金融詐欺ともいえるものには、不正流出先として「ドコモ口座」が絡んでいた点に注意が必要となる。

 「ドコモ口座」とは、その口座を持つことによって、ネット上で買い物ができたり、友人や家族に月20万円を限度に手数料なしで送金ができるシステムである。受け取り限度額も月20万円となっていた。

 ドコモの携帯を持っている人はdアカウントを作成していると思われるが、そのdアカウントでドコモ口座が登録できる。ドコモの携帯を持たなくてもdアカウントを作ることもできる。

 ドコモ口座に銀行口座を登録すると紐付けが可能となる。このときに使われるのが、「Web口振受付サービス」であり、従来書面の提出を必要としていた口座振替の申込みを、パソコンおよび携帯電話(NTTドコモ、au、ソフトバンク)を利用して、銀行と提携する各企業(収納機関)のホームページから手続きできるサービスとなる。

 今回、フィッシングサイトなど、何らかの方法で七十七銀行の口座番号と名義、暗証番号を不正に入手した者が、ドコモ口座のアカウントを勝手に開設し、そこに七十七銀行の口座を紐付けして、月内で20万円以内の不正送金をドコモ口座のアカウントに行ったものとみられる。

 七十七銀行のサイトには、現時点で当行のシステムから、お客さまの口座番号やキャッシュカードの暗証番号等のお客さま情報が漏洩した事実は確認されておりませんとある。今回、不正に引き出した人物は、口座番号と名義、暗証番号を何らかの手段で不正に入手し、それを不正に作った「ドコモ口座」を利用して引き出したものと思われる。

 これを防ぐには、まずは自分の銀行口座の情報は漏らさない、ということが大前提となる。それとともに、ドコモ口座のような「決済アプリの設定」の作成や、「銀行口座の紐付け」の際に本人確認をしっかり行う仕組みが必要であったのではないかと思われる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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