テレワークの推進は結果としてデフレ要因?

(写真:ロイター/アフロ)

 新型コロナウイルスの感染拡大とその感染拡大を防止するための緊急事態宣言による人と物の移動制限などによって、一時的にせよ社会生活が大きく変化した人が多いと思われる。

 我々は想像以上に社会での各種のネットワークに絡んでいる。それぞれ単独で存在しているようにみえて、ある人が別の人を気づかぬままに支えているということも可視化されてきた。今回、たいへん重要な役割を担ってくれた医療関係者のなかには、子供を預けられる施設がなければ働けないといった事情があった人たちがいた。ありふれた言い方だが、社会はまさに支え合ってできていた。

 その支え方は、これまで人と人が直接、接することで成り立つケースが多かったし、商談などでしか成り立たないものも当然ながら存在していた。ただし、IT化が進み、電話で直接話すよりメールやLINEで意見交換などをすることも多くなった。それでも相手の声なり表情なりを確認することも必要であった。

 今回はその絆を直接会わずにいかにネット上で構築できるのかも試された。このためメールなどでの連絡で済ませるのではなく、Zoomなどを使ったテレビ会議が多く使われるようになった。やはり相手の表情、話し方、考えるタイミングの間などを感じながらの方が、会話は成り立ちやすいという面もあるのだろうか。

 今年の流行語として「テレワーク」という言葉が入るかと思われる。テレワークと聞こえは良いが、いわゆるネット利用を前提とした在宅勤務である。これを私は2010年から茨城の自宅で続けている。いわば走りといえよう(自慢と言えるのかはさておき)。

 テレワークに移行可能な職種は限られようが、それでもかなりの部分がテレワークに置き換えられることが今回、明らかになったのではなかろうか。今回のことがなければ、仕事は会社で行うものという暗黙のルールが破られることはなかったのではなかろうかとすら思えた。

 ただし、今回の事態は急に起きた。まさに予期せぬ事態といえた。このため、自宅にテレワーク環境が整っている人ばかりというわけにはいかなかったのではないかと思う。

 私の例では、自宅は田舎ながらも、パソコン好きが幸いし、ネット環境はかなり昔から構築していた。パソコン(メインはデスクトップ)もなるべく新しいものとし、サイトの構築程度のプログラム知識はあり、エクセルやワードもそれなりに使えるようにはなっていた。デスクトップになにかあったときのためにノートタイプのパソコンもあり、こちらにはカメラやマイクも装備されていた。

 少なくとも上記のようにネット環境(光回線とWifi)、スマホやタブレットよりパソコン、事務作業が可能な程度のパソコン利用の環境の構築は最低限は必要かと思われる。これは我が家のような田舎でも構築は可能。

 ここに専門分野に必要なソフトも加わるが、これを企業が負担してくれるのかという問題も出てきているようである。私は文章を書くことが仕事なので、フォトショップや工学系のソフトなどは持ち合わせていないが、それが必要になる人も多いのではなかろうか。

 パソコンについては文章を書く、調べ物をする程度であれば、自分のパソコンで良いかもしれないが、会社のネットワークに繋げるとなると、会社のパソコンを持ってくる必要があるかもしれない。

 以上のことなどから考えて、今回の事態を経て、どのようなもののニーズが高まるのかを予想してみた。

 ネット環境については、あらためて契約者は増えるかもしれないが、それほど急増することはないと思われる。パソコンそのものについてはニーズはある。私もちょうど買い換えのタイミングであったので、例のいただける10万円を想定してその金額に収まるものを購入したので参考事例としてほしい。

 テレワークで使うパソコンというと事務作業に特化したものと思われるかもしれないが、今回の状況でよく目にしたのは静止画ではなくテレビ会議などの「動画」ではなかったろうか。動画の視聴だけでなく配信まで考えると事務作業用のパソコンよりもいわゆるゲーミングパソコンの方が適していると私は思った。

 ゲーミングというネームは付いているが、それはゲームに特化したものというのではなく、ゲームができる環境を構築したパソコンである。つまり高速のCPUに動画を処理する高性能なGPUも備わり、それらに必要な大規模なメモリーも付いているものである。これはつまり通常の作業を行う上でも全く支障はないどころか当然ながら高速処理を可能にするし、動画編集も可能となる(少しファンの音がうるさいかも)。

 ということで、個人的な意見とはなってしまうが、今後はゲーミングパソコン、もしくはそれに同等の性能をもつパソコンに、それぞれ必要なソフトを組み入れたものが今風の在宅勤務に適したものとなるのではなかろうか。

 ゲーミングパソコンといってもピンキリである。本格的にEゲームなどをするのでなければ10万円あたりのものでも十分ではなかろうかと思う。昔に比べて、価格に対する性能比は格段に向上している。

 これを金融マーケットに無理矢理結びつけるのもどうかという気はするが、それも少し想定してみたい。やはり今後もネットやパソコン、半導体などのハイテク関連企業が経済を引っ張っていくことは確かであろう。テレワークの拡大を考えるとパソコンが復活してくる可能性、とくにゲーミングパソコンクラスが脚光を浴びる可能性がある。そして価格に対する性能比などをみても、これはどちらかといえばデフレ要因になるのではないかと考える。この規模のメモリーがこの値段で買えるのかとあらためて気づかされたのも今回であった。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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