ECBではあらためてラガルド新体制がスタート
19日のブルームバーグによると、25人から成るECBの政策委員会は、十分な議論の時間を取るため22、23両日の会合を早めに開始するそうである。22日の夕食会では特に活発な議論が交わされそうだとか。
実際に22日の夕食会にて、どのような議論がなされたのかについては、報じられていないが、23日の理事会では時間を掛けて話し合われたものとみられる。
11月1日に就任したラガルド総裁にとり、最初の理事会となった12月の理事会では、政策金利である中銀預金金利を過去最低のマイナス0.5%で維持することを決定した。債券購入の月額も200億ユーロと9月の発表と変わらずとなった。つまり現状維持とした。
前任のドラギ氏に対して、ラガルド新総裁が、どのような色を出してくるのかと市場参加者は注目していたが、12月の理事会では様子見を決め込んでいた。しかし、年が明けて1月の理事会から、あらためてラガルド新体制をスタートさせるようである。
実際に23日のECB理事会では、政策金利を据え置くとともに、金融政策について幅広い見直しを行う「政策再評価」に着手することを決めた。
2003年に打ち出されたECBのインフレ目標について検証するとされる。物価上昇率を2%弱に維持するという今の目標がなお妥当かどうかをあらためて検証するようである。
当然ながら同じような問題は日銀も抱えており、このECBの動きは日銀としても注目せざるを得ないとみられる。
マイナス金利政策についても、あらためて検証するとみられる。スウェーデンの中央銀行のリクスバンクがマイナス金利から脱却した。スイス国立銀行(中央銀行)のメクラー理事もマイナス金利政策について、中銀は「可能になり次第速やかに」解除すると述べた。
ただし、スイス中銀がすぐにマイナス金利を解除することはなさそうで、ECBもラガルド総裁はマイナス金利政策には好意的な見方をしていたとされ、簡単に解除するようなことはないとみられる。それでも、その効果と副作用について議論されるのではなかろうか。
欧州の景気についてはやや楽観的な見方も出ており、物価も12月のCPIが前年同月比1.3%上昇とやや跳ね上がりをみせていた。この系や物価の見通しについても議論されるとみられる。
英国のEU離脱、中東問題、さらには新型肺炎というあらたなリスク要因も出てきており、これらを含めて、今後の金融政策の在り方が幅広く議論されることが予想される。金融政策そのものの変更は現状考えづらいが、今後のECBの動向も注目されよう。