Yahoo!ニュース

9月末の投資家別の国債保有額

久保田博幸金融アナリスト
日銀の資金循環統計の数値を基に著者が作成

 日銀は12月20日に資金循環統計(2019年7~9月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は9月末時点で約1864兆円となり、12月末の約1860兆円からやや増加した。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で1.7%増の約986兆円となっていたのに対し、株式等が同10.9%減の約199兆円、投資信託は同4.5%減の約71兆円となっていた。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

 残高トップの日銀の国債保有残高は489兆9509億円、46.8%のシェアとなった。前期比(速報値)からは6兆2467億円の増加となる。

 残高2位の保険・年金基金は253兆3611億円(24.2%)、6110億円増。

 残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で132兆6959億円(12.7%)、3兆7871億円減。

 残高4位が海外投資家で79兆3536億円(7.6%)、2兆7015億円増。

 残高5位が公的年金の43兆2210億円(4.1%)、1061億円増。

 残高6位が家計の13兆4272億円(1.3%)、1764億円増。

 その他が33兆9813億円(3.2%)、1兆442億円減となっていた。

 2019年6月末に比べ国債(短期債除く)の残高は5兆104億円増の1045兆9910億円となった。昨年12月末に短期債を除いた国債残高がこの資金循環統計からはじめて1000兆円を超えてきたが、そこからさらに上積みされている格好に(こちらの国債残高は時価ベース)。

 6月末に比べて大きく増加したのは日銀。海外も残高を増やしていた。今回も前期比で大きく減少したのは預金取扱機関(都銀や地銀など)となっていた。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1141兆円となり、日銀が約500兆円で43.9%のシェアに。海外勢の残高は約144兆円と短期債を含めると国債全体の12.7%のシェアとなっていた。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事