12月12日にECBの政策理事会が開催された。これが11月1日に就任したラガルド新総裁にとっての初めての理事会となった。前任のドラギ氏に対して、ラガルド新総裁が、どのような色を出してくるのかと市場参加者は注目していたと思われる。

 ECBの政策理事会での金融政策については、政策金利である中銀預金金利を過去最低のマイナス0.5%で維持することを決定した。債券購入の月額も200億ユーロと9月の発表と変わらずとなった。これらは事前の予想通り。前回同様に、追加利下げの可能性に含みを残した格好だが、ドラギ氏に比べて和を重んじると思われるラガルド総裁は、ここからの追加緩和については慎重ではないかと思われる。

 ラガルド新総裁は就任後初の記者会見の冒頭で、「私には独自のスタイルがある。拡大解釈や勘ぐり、相互参照はしない。ありのままの自分でいるつもりだ」と指摘した(ロイター)。

 これは独自スタイルというより、理想のスタイルではないかと思われる。ラガルド総裁は、向かい合いたいのは報道陣だけではないとし、ECBのメッセージを広範に届けるために専門用語ではない様々な用語を用いると述べた。

 我が国の中央銀行である日本銀行から発せられるメッセージに対して、日銀文学と称されることがある。いったい何を言っているのか、解釈するのが難しい表現があるためである。例えば、モメンタムといった表現もそれにあたる。これに対し、ラガルド総裁はわかりやすいメッセージを伝えたいようである。これはやさしそうでなかなか難しいことでもある。

 また、ドラギ前総裁が9月に発表した景気刺激策に、不快感を示した複数のECB理事会メンバーとともにコンセンサスを模索することが目標であると強調。「はっきり申し上げておきたいが、私はハトでもタカでもない。私の夢は知恵の象徴であるフクロウになることだ」とした(ロイター)。

 ECB理事会内に不協和音があると、曖昧な表現などが使われて、わかりやすいメッセージは伝えにくくなる。ドイツなどの出身者とドラギ前総裁は大きな溝を作ったようだが、それを埋めるのがラガルド総裁にとってまず必要な作業となろう。

 ラガルド総裁はハト派でもタカ派でもない、フクロウ派になりたいとした。フクロウといえば私は以前の福井日銀元総裁がハトでもなくタカでもないフクロウではないかと指摘したことがあった。偶然にもラガルド総裁もフクロウ派になりたいそうである。念のため、フクロウもタカと同じ鋭い爪を備えた猛禽類である。