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米国債保有額、日本は再び大きく増加させて、5か月連続でトップを維持

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 米財務省が12月16日に発表した10月の国際資本収支統計における米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、引き続き日本がトップとなった。前月比較で日本の米国債保有高は222億ドルの増加。8月から9月にかけては289億ドルの減少となり2000年以来で最大の減少を記録したが、その分をほぼカバーした格好となった。

 日本の10月における米国債保有額は1兆1680億ドルとなり、前月比で222億ドル増加した。これに対して中国は1兆1016億ドルとなり、前月比で8億ドルの減少に止まっていた。日本と中国の米国債残高の差は再び拡大し、日本のトップは5か月連続となった。

国、米国債保有額、前月比(単位、10億ドル)

日本(Japan) 1168.0 +22.2

中国(China, Mainland) 1101.6-0.8

英国(United Kingdom) 334.1-12.1

ブラジル(Brazil) 298.6-4.4

アイルランド(Ireland) 286.6 +12.5

ルクセンブルク(Luxembourg) 263.3 +10.8

スイス(Switzerland) 233.4 +2.1

ケイマン諸島(Cayman Islands) 225.1-13.6

香港(Hong Kong) 222.6-1.6

ベルギー(Belgium) 208.3-10.0

 8月から9月にかけての日本の保有額の減少は、当然ながら政治的な要因などではなく、決算期末や米国債の相場動向を睨んでのものであったとみられる。つまり米国債市場の動向を受けてのポジション調整的な動きが入っていたが、10月はその売却した分をカバーした格好となった。

 米10年債利回りは9月3日に一時1.42%まで低下し、過去最低の1.31%に接近した。その後は9月半ばにむけて利回りは1.9%近くまで上昇したものの、その後10月上旬に向けて1.5%台に低下した。その後はじりじりと上昇基調となり、10月末に掛けて一時1.8%台まで上昇していた。

 9月に米国債利回りが過去最低に接近したことで、利益確定売りが入ったが、その後の利回り上昇局面では、押し目買いが入っていた格好となる。

 米10年債利回りの推移をみると、大きな低下トレンドが終了したようにもみえる。日本の10年債利回りもゼロ%まで戻ってはいるが、なかなかプラス圏には戻ってこない。このなかにあっての米10年債利回りの1.8%近辺というのは、魅力的に映るのではなかろうか。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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