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トランプ米大統領とジョンソン英首相によるバルス

久保田博幸金融アナリスト
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 ジョンソン英首相は9月9日の週から10月13日までの約1カ月間、議会を閉じることを決めた。首相官邸が28日、発表した。議会は9月2日までの予定で休会しており、9月3日に再開後、1週間ほどで再び閉じる見通しだ。計画通りならば、10月末の欧州連合(EU)離脱までに英議会で議論する時間は大幅に短くなる(日本経済新聞)。

 ジョンソン首相は議会日程を大幅に短縮することで反対派の抵抗を封じる構えとみられ、これにより英国の欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」が一段と現実味を帯びることになる。

 新たな日程では10月14日の女王演説で英議会が再開するが、同月の17~18日には英国の離脱について協議するEU首脳会議が予定されている。反対派を封じ込めることで、10月31日の離脱を強行させようとしているとみられるが、その後混乱が生じることも予想される。

 ムニューシン米財務長官は28日、米国の通商当局者は中国の交渉担当者がワシントンを訪問すると予想していると述べたが、9月の協議が行われるかどうかについてはコメントを控えた(ブルームバーグ)。

 米国としては中国が折れることを期待しているようだが、中国が何かしら妥協するつもりもないとみられる。協議は続けられるとしても、平行線を辿ることが予想される。いやむしろ関税合戦がさらに激化してくる可能性も当然ありうる。

 米国の2年債と10年債利回りが逆転したり、欧州の国債利回りが過去最低を更新したり、金が最高値を更新したりしている。これは今後の世界的な景気悪化を予測してのものと言うより、米中の貿易戦争の激化や英国のEUからの合意なき離脱による混乱等を意識しての「リスク回避」の動きである。

 30日の金曜ロードショーは「天空の城ラピュタ」が放映される。2006年に金曜ロードショーにおいて、天空の城ラピュタが放映された段階から、「ジブリの呪い」と言う言葉が使われるようになった。「天空の城ラピュタ」などジブリ映画が放送されると株式市場や外国為替相場が大荒れになるというアノマリー的な噂がある。

 シータとパズーではなく、トランプ米大統領とジョンソン英首相があの言葉を唱え、今後の市場が大荒れとなる可能性がありそうである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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