フェイスブックの暗号資産、リブラへの警戒感が強まる。G7でも議題に

(写真:ロイター/アフロ)

 イギリスの新しい50ポンド紙幣の肖像に、コンピュータ科学の先駆者で暗号解読者のアラン・チューリングが採用されることが明らかになったそうである。紙幣とコンピュータ、そして暗号との繋がりというと、ここにきて世間を騒がせている、フェイスブックの暗号資産(仮想通貨)のリブラがある。

 米国のムニューシン財務長官は15日、交流サイト最大手の米フェイスブック(FB)が2020年に発行を計画する「リブラ」などのデジタル通貨について、犯罪に悪用される可能性があり、「国家安全保障上の問題だ」と強い懸念を表明した(時事通信)。

 暗号資産(仮想通貨)の基盤技術を用いたリブラには規制対応などで大きな課題があり、実用化までは「かなり遠い」ともムニューシン財務長官は強調していた。これまでの暗号資産(仮想通貨)をみても、流出といった犯罪行為が起きており、マネーロンダリング(資金洗浄)などの犯罪に使われた可能性も指摘されていた。

 さらにフェイスブックは個人データの不正流用問題を巡って既に米議会から非難されているなど、どうしてもセキュリティへの不安がつきまとうことも確かである。「リブラ」については、フェイスブック単独ではなく、マスターカードやイーベイなど多くの企業が参画している。だから問題はないということではなく、むしろセキュリティへの責任の所在がはっきりしなくなるリスクもある。

 リブラのプロジェクトの担当グループがジュネーブに本部を構える予定とされ、このためスイス金融市場監督機構(FINMA)がリブラの規制主体になるとか。スイス金融市場監督機構としても米国などによる懸念が残るとなれば、容易にその発行を認めることはしづらいのではなかろうか。

 フランスで17、18日に開かれるG7財務相・中央銀行総裁会議では、暗号資産をめぐる課題が主要議題になる。

 自由でどこの規制もかからない通貨というのはひとつの理想かもしれない。しかし、コンピュータ技術を使い、仮想空間上にそのような通貨を作っても、現実社会の商取引に持ち込むには大きな壁がある。決済は人と人が行うわけであり、そこには信用が必要になる。紙切れが通貨として流通しているのは、政府がそれに信用力を与えているためであり、その信用を構築し維持するために膨大な労力が使われている。強固なインフラが整備されているといえる。それは費用面だけの問題ではない。仮想通貨ならばATMなどの費用は削減できるかもしれないが、それだけで仮想通貨が現実通貨に対し優位性を持てるものでもない。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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