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3月末の投資家別の国債保有額

久保田博幸金融アナリスト
(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 日銀は6月27日に資金循環統計(2019年1~3月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は3月末時点で約1835兆円となり、12月末の約1830兆円から増加した。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で1.9%増の約977兆円となっていたのに対し、株式等が同9.5%減の約183兆円、投資信託は同2.2%減の約71兆円となっていた。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

 残高トップの日銀の国債保有残高は475兆6275億円、46.3%のシェアとなった。前期比(速報値)からは9兆5096億円の増加となる。

 残高2位の保険・年金基金は240兆588億円(23.4%)、1兆9299億円増。

 残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で145兆9077億円(14.2%)、7兆732億円減。

 残高4位が海外投資家で73兆1707億円(7.1%)、8兆4079億円増。

 残高5位が公的年金の45兆6903億円(4.4%)、1875億円増。

 残高6位が家計の13兆2585億円(1.3%)、2948億円増。

 その他が34兆2526億円(3.3%)、1兆6106億円増となっていた。

 2018年12月末に比べ国債(短期債除く)の残高は14兆8671億円増の1027兆9661億円となった。12月末に短期債を除いた国債残高がこの資金循環統計からはじめて1000兆円を超えてきたが、そこからさらに上積みされている格好に(こちらの国債残高は時価ベース)。

 12月末に比べて大きく増加したのは、国債を大量に買い入れている日銀で、シェアは5割に迫ってきている。今回も前期比で減少したのは預金取扱機関(都銀や地銀など)。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1125兆円となり、日銀が約486兆円で43.2%のシェアとなっていた。海外勢の残高は約143兆円と短期債を含めると国債全体の12.7%のシェアとなっていた。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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