現状の日本の物価の適正水準

(写真:森田直樹/アフロ)

 24日に4月の全国消費者物価指数が発表された。総合指数は前年同月比は0.9%の上昇、生鮮食品を除く総合指数(コア指数)も前年同月比は0.9%の上昇、 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコア指数)は前年同月比は0.6%の上昇となった。

 3月の前年同月比は総合がプラス0.5%、コアが同プラス0.8%、コアコアがプラス0.4%となっており、それぞれ前年比でのプラス幅が拡大していた。

 ちなみに4月のコアコアのプラス0.6%という伸び率は2016年6月以来、2年10か月ぶりの高い水準となっていた。

 総合については生鮮食品の上昇幅が拡大、コアについてはガソリンや生鮮食品を除く食料などの上昇幅が拡大した。そして宿泊料や外国パック旅行費の拡大が寄与しており、こちらは10連休の影響が大きかったようである。

 日銀が目標としている物価指数はこの全国消費者物価指数のうちの生鮮食品を除く総合指数(コア指数)の2%となっている。

 この2%には特に根拠はない。しいて言えばECBやFRBなどが適正な物価水準として2%に置いていることで、いわゆるグローバルスタンダードであるからというのが、大きな理由になっている。

 ところでここにきて実感としては物価は上がっているように感じていないだろうか。特に身近な食料品の価格が上昇しており、ガソリンの価格もなかなか下がってくれない。こんな状況下でデフレという感覚はすでにないのではなかろうか。ただし、確かに賃金がそれほど上がっていないことで、消費もある程度抑えられている面もあるかと思う。

 物価に影響を与えるのは賃金だけでないが、仮に賃金がどれだけ上がれば、消費を通じて物価に影響を与え、生鮮食品を除く総合指数の2%が達成されるのか。

 現在の物価指数の1%というのは日本ではとても居所の良い水準のように思う。ここから無理に2%に引き上げる必要は本当にあるのか。無理にと言ったが、日銀による金融政策で無理に上げることは本当に可能なのか。このあたりの検証結果はすでにデータが出そろっているように思われる。念のため、消費増税が2%の物価目標達成を阻害しているのかについてもついでに検証してほしい気もする。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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