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キャッシュレス化が進むオーストラリアの紙幣にスペルミス発覚

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 オーストラリアの新しい50豪ドル札にスペルミスがあることが発覚し、中央銀行のオーストラリア準備銀行(RBA)が9日、今後の発行分で修正すると発表した。

 RBAが昨年10月から発行を始めた新しい50豪ドル紙幣の細かい印字の部分で、「responsibility(責任)」が「responsibilty」と最後の「i」が抜けた状態で書かれていることが明らかになった。この誤植の入った新紙幣はこれまでに約4600万枚、国内で流通している(BBS)。

 新紙幣は偽造防止と使いやすさ向上を目的に、昨年秋から導入されたもので、RBAによると、50豪ドル札は同国で最も広く流通しており、他の紙幣の半分近くを占めているそうである。同行の最新の年次報告書によると、2017/2018年度に50豪ドルの新紙幣約1億8400万枚を含む、2億2700万枚の紙幣が発行された。(ロイターの記事より)。

 すでに出回っている紙幣を回収する予定はなく、次回印刷分から訂正するそうであるが、かなりの流通枚数ともなっているので、スペルミスの紙幣はレア物としての価値がそれほど上がらないかもしれない。

 ちなみにオーストラリアの人口は約2500万人なので、キャッシュレス先進国ともされるオーストラリアでも、それなりのキャッシュが出回っているようである。

 オーストラリアではクレジットカードやデビットカードが普及しており、特に非接触式で決済されていることが多く、非接触式のクレジットカード、デビットカードによる決済は世界で最も多く利用されているとされる。

 オーストラリアではATMにも非接触式も導入されており、ATMに銀行カードを挿入するのではなく、端末へのTAPと暗証番号の入力で現金を引き出すことができるとか。この形式だと磁気ストライプからスキミングされる心配もない。

 日本でも非接触式のカードとしてはSuicaなどが発行されている。交通系カードとしてはオーストラリアでもシドニーで、非接触式ICプリペイドカード「Opal Card」が利用できる。ただし、このカードは買い物などには利用できない。クレジットカードやデビットカードが使えるので、使い分けられているようである。

 キャッシュレス先進国ともされるオーストラリアでも、それなりにキャッシュも使われていることは、今回の50豪ドル札のスペルミスの記事からも明らかである。我々にとって使い勝手の良く便利なキャッシュレス化は大歓迎ではあるが、まずはキャッシュレスありきとの考え方はどうかと思う。日本は災害も多い国でもあり、現金とのうまい共存も考慮に入れてのキャッシュレス化を意識してほしいと思う。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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