米中協議は続くものの、関税「競技」も継続中、世界の株式市場が動揺を示す
米中の通商交渉における閣僚級協議は9日から10日までワシントンで行われたが、結局合意には至らなかった。
米国のムニューシン財務長官は、建設的な議論だったと述べ、中国の劉鶴副首相も、協議は極めて良好だったと語った。そして、トランプ大統領も会話は今後も続くとツイッターに投稿したが、交渉がまとまるようには見えず、問題を先送りしただけとなった。
確かに協議は続けるとしており、中国側から北京での開催も示唆されたようである。しかし、いまのところ具体的な日程は示されていない。6月に大阪で開催されるG20で、米中首脳会議の可能性もありうるが、閣僚級会議でまとまらなかったものをトップ会談でまとめられるかも不透明である。お互いに妥協できない背景もあり、具体的に国内経済への悪影響が出たり、米大統領選挙に不利に働くとの読みでもなければ意地の張り合いは続くものと予想される。
トランプ政権が10日に2000億ドル分の中国製品への制裁関税を引き上げたのを受け、中国政府は昨秋に5~10%の追加関税をかけた600億ドル分の米国製品について、6月1日から税率を5~25%に引き上げると発表した。中国の交渉責任者を務める劉鶴副首相は米国の第3弾の関税引き上げに対する対抗措置として「必ず報復する」と述べていた。
さらにトランプ政権は、中国との貿易交渉で歩み寄りが見られなかったとして、まだ関税を上乗せしていない約3000億ドル分の輸入品についても新たに上乗せする手続きを始めた。この第四弾が実行されれば、通商法301条に基づいて知的財産権の侵害を理由にした関税の上乗せは中国からのすべての輸入品が対象となる。
金融市場にとっては協議がまとまる、いやまとまらないとの観測が右往左往していたが、ひとまず「合意なし」との結果が出た。しかし、依然として不透明感は払拭できない。米中協議は続くものの、関税「競技」も継続することとなり、これは世界経済にはマイナスに働くことも予想される。
中国政府による対抗措置の発表が13日の米国市場が開く前というタイミングも影響してか、13日の米国市場は動揺を隠せず、ダウ平均は617ドル安となり、リスク回避から米債は買い進まれ、円高も進行しドル円は109円近くに下落した(円高進行)。欧州の株式市場も下落し、欧州の債券市場ではドイツなど中核国の国債が買われ、イタリアなど周辺国が売られるなど、まさにリスク回避の動きとなった。
ちなみに令和となってからの東京株式市場は日経平均でみると13日まで前日比でプラスがない。令和の時代はどうやら先が見えづらい時代となるのかもしれない。