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トランプ大統領のツイートで金融市場が一変、令和としての最初の明日の東京市場はどうやら波乱の幕開けか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 米国のトランプ大統領は日本時間の6日の深夜に下記のようなツイートをした。

 For 10 months, China has been paying Tariffs to the USA of 25% on 50 Billion Dollars of High Tech, and 10% on 200 Billion Dollars of other goods. These payments are partially responsible for our great economic results. The 10% will go up to 25% on Friday. 325 Billions Dollars of additional goods sent to us by China remain untaxed, but will be shortly, at a rate of 25%. The Tariffs paid to the USA have had little impact on product cost, mostly borne by China. The Trade Deal with China continues, but too slowly, as they attempt to renegotiate. No!

 中国の知的財産権侵害などを理由に2000億ドル分の同国製品に課す関税を、10日の金曜日から現在の10%から25%に引き上げる。さらに関税を課していない3250億ドル分の中国製品にも、速やかに25%の関税を課すとした。「中国の協議は遅すぎる」とも指摘している。

 日本が10連休中の間の欧米市場は、それほど大きな動きはなかったが最終日に市場を揺るがすようなツイートが来た。たしかに進展はみられなかったものの、米中の通商協議は続いており、8日からはワシントンで米中の通商交渉が再開される予定であった。

 ただし、1日にWSJが米国の要求する包括的な合意に至らない可能性があると報じていたように、実際の交渉は暗礁に乗り上げていた可能性があり、それに業を煮やしたトランプ大統領が直接ツイッターで、交渉決裂を示唆したような呟きを行った可能性もある。

 トランプ大統領が直接ツイッターで重要事項となりそうな呟きを行うのは、何も今回が初めてではない。しかし、広報やスポークスマンなどを通さずに、自らツイートするというのはある意味、大きなリスクも伴うとも言わざるを得ない。世界の政治や軍事、金融市場などに多大な影響を及ぼしかねない米国の大統領の安易な発言や意見の発信は本来控えるべきものであろう。

 中国は今週に予定していた劉鶴副首相のワシントン訪問の中止を検討していると米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。中国側は大統領の発言に驚いたとWSJ紙は匿名の関係者を引用して伝えている。中国は脅迫を受けながらの交渉を望んでいないとも同紙は報じた(ブルームバーグ)。

 今回のトランプ大統領のツイートは脅しのようにもみえるだけに、中国側がこのような反応をするのも当然のことのように思われる。

 日本の連休中にそれほど大きな波乱がなかった金融市場はこの米国大統領のツイートを受けて、大きく動揺した。3日のダウ平均は26500ドル台で引けていたが、日本時間の6日午前のダウ平均の先物は一時26000ドルを割り込んでいる。CMEの日経平均先物も22000円を一時割り込んでいる。ドル円も一時110円20銭台に下落するなど円高も進み、米債は買われるなどリスク回避の動きとなっている。

 今日のニューヨーク市場動向次第ではあるが、10連休明け、令和としての最初の明日の東京市場はどうやら波乱の幕開けとなりそうである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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