キャッシュレス化の拡大を睨んだSuicaの改革への期待と問題点

(写真:川窪隆一/アフロスポーツ)

 「JR東日本の深沢祐二社長は6日までに産経新聞のインタビューに応じ、同社が展開する交通系ICカード「Suica(スイカ)」で、現状よりも導入費用を大幅に軽減する簡易版の新システムを早ければ来年度中にも導入する方針を明らかにした。」(2月6日付産経新聞)。

 簡易版の新システムとは何か。SuicaはnanacoやWAONなどスーパー系の電子カードやEdy、iDなどと同様にソニーが開発した通信技術FeliCa(フェリカ)を採用している。さらにSuicaは首都圏の混雑する改札でも瞬時に機能できるよう、高度な技術が使われている。

 Suicaのカードそのものにも一定の情報が蓄積されているが、そのデータを改札で読み書きする端末の機能が高度なものとなっている。そこである程度蓄積されたデータが中央のコンピュータで処理される。つまり直接、Suicaのカードと中央のコンピュータが繋がっているわけではなく、いわゆる分散型のシステムとなっている。これによって高速な処理を可能とするとともに、大規模な障害発生を防いでいる。実際にSuicaで大規模障害が発生し、使えなくなったといったことはあまり聞いたことがない。

 しかし、端末が高性能なあまり、金額も高くなってしまうため、大量の乗り降りがない駅では採算を考えると導入が難しくなる。このため、都市圏以外ではJR東日本の駅でSuicaの端末が導入されていない駅もある。

 このため「クラウド技術を使い、端末側で情報を持たないシステムにすることで、導入する際のコストを引き下げる」(深沢祐二社長)という「簡易版」を導入することで、管内全域での導入を図るとか。

 また、地方のバスなど地域交通事業者向けに、運賃支払い用のICカードにSuica決済の機能を搭載する「地域連携ICカード」の開発を表明している(産経新聞)。

 この簡易版が一般店舗やタクシーなどでも利用できるのかは、記事では触れていないものの、鉄道以外での利用が広がる可能性もあるか。

 ただし、鉄道での利用についても、首都圏ではSUICAとPASMOの相互利用はできても、他の「Kitaca」、「TOICA」、「ICOCA」、「SUGOCA」、「manaca」、「PiTaPa」、「はやかけん」、「nimoca」などの間での相互利用は現在できない。これは路線の組み合わせが複雑すぎることで、システムの構築がなかなか難しいことが要因となっているようである。ただし、こちらも「地域連携ICカード」として発行の動きもある。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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