米国のトランプ大統領は、19日のFRBによる利上げ決定と数か月にわたる株価低迷を受けてパウエルFRB議長への不満を募らせ、解任を話し合ったと事情に詳しい4人の関係者が明らかにしたとブルームバーグが伝えた。チコちゃんならぬトラさんが、「ボーっと利上げしているんじゃねーよ!」と批判しているかにみえる。

 ここにきての米国株式市場の下落は、たしかに19日のFRBの動向も影響を与えた。しかし、市場では利上げそのものは織り込み済みであり、それよりも来年の利上げペースの行方が焦点となっていた。それに対してパウエル議長は来年も利上げを継続する姿勢を示したことで、利上げ停止を示唆するのではと期待していた市場はさらに売り圧力を強めた格好になった。

 しかし、今回の米国の株式市場の調整は、今後の景気減速懸念の強まりによるものである。今年、ダウ平均は一時過去最高値を更新するなどしていたが、アップルなどの業績に不透明感なども出たことで、それがいったんピークアウトとした。そこに米中貿易摩擦問題も絡んでの景気減速観測を強めたのである。トランプ大統領の姿勢そのものも株価にとっては売り材料になっている。今回の政府機関の一部閉鎖なども市場を動揺させたが、これもトランプ大統領が引き起こしたものといえよう。

 トランプ大統領はそもそも利上げはお好きではないようで、自ら指名したパウエル議長に対して批判を繰り返していた。しかし、今回は「解任」という言葉を発していたようである。大統領はFRB議長を指名するが、安易に解任する権利は持っていないとされている。

 連邦準備法によると大統領がFRB議長を含め理事を罷免するには「正当な理由(for cause)」が必要とされている。関連法はFRBの責務を「雇用の最大化と物価の安定」と定めており、金融政策の方針の違いだけで大統領がFRB議長を解任するのは難しい。1930年代にルーズベルト大統領(当時)が米連邦取引委員会(FTC)委員長を政策方針の違いで解任した際は、最高裁判所が委員長の罷免を無効にする決定を下している。(23日付日経新聞電子版より)。

 ちなみに日本においては旧日銀法では内閣が総裁の解任権をもっていたが、1998年4月1日に施行された新日銀法では日銀総裁と副総裁は、国会の同意を得て内閣が任命することになっていたが、内閣による日本銀行総裁の解任権はなくなっている。

 このようにFRB議長を大統領が解任するにはハードルがかなり高いというものの、米国株式市場の下落が止まらない限り、自らの政策による悪影響など差し置いて、利上げを行ってきたFRB議長への批判をトランプ大統領がさらに強めてくる懸念はある。