FOMCでは利上げを決定、利上げペースは維持
9月26日の米国の金融政策を決めるFOMCにおいて、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を年1.75~2.00%から2.00~2.25%に0.25%引き上げることを、投票メンバー9人の全員一致で決定した。
政策金利が2%を超えるのは、リーマン・ショックがあった2008年半ば以来、約10年ぶりとなる。
リーマン・ショックに代表される欧米の金融機関の経営危機をきっかけとした世界的な金融危機、そしてその後のギリシャ・ショックをきっかけとした欧州の信用不安による百年に一度とされた世界的な金融経済危機を乗り越えてきたことが窺える。
今回の利上げに関しては予想通りであり、市場参加者は今後の利上げペースに着目していた。それを確認するためとして、参加者による先行きの利上げ見通しが注目された。
FOMC参加者の金融政策見通しによると、今年の利上げ回数は4回と前回予測と変わらず。2019年は計3回、2020年は1回。2021年はゼロとの予測となっていた。
市場はこれをみて、今年は12月のFOMCで再度利上げがあり、2020年までには利上げが停止されるであろうとの読みとなった。ただし、これはあくまでFOMCの個々の予想であり、これが金融政策の予定表になるわけではない。しかし、FRBとしてはこれである程度の方向性を示したいとの意向もあるとみられ、少なくとも利上げペースが当面維持されるサインとの見方はできる。
FOMC後に発表された声明では、「労働市場が引き締まり続け、経済活動が力強い速度で拡大していることを示している」と指摘した上で、前回まであった「金融政策のスタンスは引き続き緩和的だ」とする文言を削除した。すでに政策金利は2%を超えてきており、正常化も進み、緩和的な状態から中立的な状態に移行してきたことを示すものと思われる。
FRBのパウエル議長はFOMC後の記者会見において、米国経済について「過去10年を振り返ると、とりわけ輝かしい局面にある」と述べ、当面の景気拡大に強い自信を示した。これが利上げペースが維持されている大きな理由となろう。また、インフレ率に関しては持続的に2%近辺にとどまるとの予想をパウエル議長は示した。物価については落ち着いており、物価上昇を抑制するために利上げを急ぐようなことはない姿勢も示した。