米国が日本などに対しイラン産原油の輸入停止を要請、これを受けて原油先物価格が急騰
トランプ米政権は26日、日本を含む各国にイラン産原油の取引停止を求めていると明らかにした。イランへの経済制裁復活に向け、包囲網を強化するのが狙い。11月4日までにイランとの取引を停止できない企業は米国市場から締め出されるなどの制裁を科される可能性がある(日本経済新聞)。
イラン産原油は日本の石油輸入量の5.5%を占めロシアに次ぐ6番目の輸入相手先となっている。米国の高官は例外はないと断言していることで、今後、日本の石油企業に影響が及ぶ可能性がある。
6月26日の原油先物市場では、米政府がイラン産原油の輸入を停止するよう日本などに要求していることが材料視されて急上昇し、WTI先物7月限は2.45ドル高の70.53ドルとあっさりと70ドルの大台を回復した。
22日のOPEC総会ではイランからの供給減の不安があることから、協調減産の緩和を決定した。しかし、相場を下げかねない増産には反対の声も出ており、増産は限定的になるのではとの見方が強い。サウジアラビアなどにとっても、あくまで供給減へのカバーであり、原油価格を引き下げることは目的ではないはずである。
協調減産への思惑もあり、原油先物価格は5月22日につけた72ドル台から戻り売りに押され、6月18日に63ドル台にまで下落した。しかし、その後OPECの増産規模が小幅なものにとどまるとの思惑から、原油先物は反発し、26日に70ドル台を回復させてきた。
産油国で問題となるのはイランばかりではない。ベネズエラは経済の混乱で産油量の低下に歯止めがかからず、リビアの原油輸出が滞る可能性が指摘され、さらにカナダでは主要オイルサンド施設の生産に問題が生じたと報じられた。
WTIは直近の高値である72ドル台を抜いて75ドル近辺に上昇してくる可能性も出てきた。原油価格の上昇は物価にも影響を与える。今回の原油価格の上昇は、景気の拡大によるものではないが、この価格が維持されること自体、需要の強さも示されているとみられる。今後の原油価格の動向にもあらためて注意する必要がありそうである。