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メガバンクが規格統一で合意したQRコード決済(BankPay)はキャッシュレス化への本命か

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友FG、みずほFGはQRコードの規格を統一することで合意したと日経新聞が伝えた。

 QRコードと呼ばれるものは、1994年にデンソーの開発部門(現在はデンソーウェーブ)が開発したマトリックス型の二次元コードである。QRコードはデンソーウェーブの登録商標となっているが、特許権者のデンソーウェーブは、規格化された技術に対し特許権を行使しないと宣言していることから、様々な分野に利用されている。

 今回の「BankPay(バンクペイ)」と呼ばれるメガバンクが規格統一で合意したQRコード決済とは、小売店や飲食店でQRコードにスマートフォンをかざすだけで、現金を使わずに支払える決済方式となる。基本的に全てのアンドロイド端末やiPhoneで利用できる。

 中国系のAlipay、WeChat Payが、QRコードを使った決済を一気に普及させ、日本でもLINE Pay、楽天ペイ、Origamiといったサービスが登場したが、それほど普及は進んでいない。

 しかし、バンクペイについては普及が一気に進む可能性がある。3メガバンクを合わせた個人預金口座数は合計で9千万を超えるとされる。メガバンクのQRコード決済が普及すれば、ATMでお金を下ろす、クレジットカードを使う、といった手間が省けて、自分の口座から直接代金支払いが可能となる。

 あくまで個人的な感想ではあるが、これまでの国内でのLINE Pay、楽天ペイ、Origamiなどは、自分の口座を持つ銀行以外の第三者を通じて決済を行うことにやや抵抗があった。しかし、取引銀行と直接やりとりできるのであれば安心感も違う。

 膨大なメガバンクの口座にひも付いたバンクペイが広がれば、このシステムを基盤に国内系のQR決済が1つにまとまる可能性も出てくる(日経新聞)。

 注意すべきは、メガではなくギガバンクとも呼ばれているゆうちょ銀行の動向か。すでにゆうちょ銀行はQRコードを使ったスマートフォン決済サービス(ゆうちょPay)を来年2月から始めると発表している。「バンクペイ」と「ゆうちょPay」が規格統一できれば、普及は一気に進む可能性がある反面、それぞれの規格を進めるとなると利用者にとっては不便なものとなりかねない。日本のキャッシュレス化を進行させるためには、統一性が必要になるのではなかろうか。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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