メガバンクがATMを共通化と報じられたが、その目的とは

(写真:ロイター/アフロ)

 5月11日に共同通信が「三菱UFJ銀行など3メガバンクが、現金自動預払機(ATM)の開発や管理を共通化する検討に入ったことが11日、分かった」と報じた。長引く低金利で経営環境の厳しさが増しており、ATM業務を合理化するそうである。

 これはもちろんATMの設置費用、メンテナンス費用を軽減化させることが目的と思われるが、何故、このタイミングなのか。

 日銀の異次元緩和は長引いて、金利は低位に抑えつけられ、2016年にはマイナス金利まで導入してしまったことから、金融機関はかなり苦しい経営環境に置かれていることは間違いない。金融機関にとってはシステム管理の費用がかなり負担となっており、ATMについても窓口の人件費の節約となっても、設置費用やメンテナンス費用は巨額の負担となっている。

 これを共通化することによって、負担を軽減できることは確かである。日本ではなかなかキャッシュレス化が進まないが、その理由のひとつに現金への信用度や利用度の高さが上げられている。利用度については銀行のATMの普及度も一役を担っているため、ATMへの投資はどうしても必要となる。

 もちろんキャッシュレス化についてメガバンクも手を拱いているわけではない。三菱UFJ、三井住友、みずほのメガバンク3行が、スマートフォンなどで手軽に支払いができるQRコード決済で規格を統一し、連携する方針を固めたと報じられている。

 メガバンク3行がキャッシュレス化に向けて連携するだけでなく、ATMについても共通化するとの動きは歓迎したい。できれば利用者目線でも考慮していただき、メガバンクのATMであれば、他行でも手数料負担を軽減するなどしてもらえるとうれしい。

 今後はメガバンクだけでなく、これをきっかけに、この動きが他の銀行にも波及してほしいようにも思う。国内銀行の多くがATMを共通化するとともに、QRコード決済で規格を統一するとなれば、国内でのキャッシュレス化が一気に普及する可能性もある。そうなればATMの設置負担も今後軽減されることも考えられる。我々利用者としてもいったんATMで現金を引き出して物を買うより、銀行口座から代金が直接引き落とされたほうが便利であり、現金保有のリスクも軽減される。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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