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12月に都銀と海外投資家が国債を大きく買い越しに

久保田博幸金融アナリスト
日本証券業協会のデータを基に作成

 1月22日に発表された12月の公社債投資家別売買高によると、都銀は1兆7122億円の買い越しとなっていた。11月は売り超しとなっていたが、再び1兆円を超す買い越しに転じた。国債の投資家別売買高をみると都銀は中期債を1兆円を超す買い越しとなっており、超長期債も買い越していた。中期ゾーンの買い越しは日銀トレードに向けたものか。

 海外投資家は12月に2兆147億円と2兆円を超す買い越しとなっていた。11月は1兆8565億円の買い越しとなっていた。国債の投資家別売買高をみると、海外投資家は中期債主体の買い越しに。

 「その他」は1兆8917億円と11月の円の2兆5746億円の売り越しに続いて、大量売り越しが継続。今回も中期と超長期をそれぞれ1兆円以上売り越している。「その他」は主に政府関係機関であり、ゆうちょ銀行やかんぽ生命も含まれており、金額からみて、ゆうちょ銀行による売り越しとみられる。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -17122(-6511、1362、-11450)

地方銀行 -262(944、-495、885)

信託銀行 -2275(-5077、2431、781)

農林系金融機関 -3078(-2515、-58、4)

第二地銀協加盟行 574(102、343、266)

信用金庫 -631(676、485、0)

その他金融機関 -516(419、190、5)

生保・損保 -2407(-2534、381、52)

投資信託 -409(45、100、-58)

官公庁共済組合 -85(-4、-18、0)

事業法人 -1630(-8、-251、0)

その他法人 -693(-80、-62、204)

外国人 -20147(-83、-3431、-15634)

個人 123(3、-7、3)

その他 18917(12770、-652、12327)

債券ディーラー 671(323、448、-50)

 12月の全体の国債売買高は182兆円程度となり、11月の203兆円程度からは減少した。

 12月の債券相場は欧米の国債の下落などもあり、上値の重い展開となった。しかし、日銀のイールドカーブコントロールが効いていることで大きくは崩れず、債券先物は150円台後半から150円台半ばあたりを主体のもみ合いとなっていた。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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