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米国債保有高は引き続き中国がトップ

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、9月の国別の米国債保有高は中国が4か月連続のトップとなった。ただし、中国の米国債の買い越し継続は8月での7か月連続でストップした。

 9月の中国(China、Mainland)の米国債保有高は1兆1808億ドルとなった。2位は日本で1兆0960億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)

中国(China, Mainland)  1180.8

日本(Japan)  1096.0

アイルランド(Ireland)  310.8

ブラジル(Brazil)  272.8

ケイマン諸島(Cayman Islands ) 267.6

スイス(Switzerland)  254.9

英国(United Kingdom) 237.4

ルクセンブルグ(Luxembourg )214.1

香港(Hong Kong)  194.7

台湾(Taiwan) 183.9

 ベスト10の顔ぶれは前回と同じで順位にも変化はなかった。日本は昨年10月に中国を抜いて米国債保有額でトップとなっていたが、今年6月に再び中国に抜かれ、9月も2位のままとなった。

 中国の外貨準備高は増加し続けており、7月には3兆ドルを突破し、9月末の外貨準備高は3兆1090億ドルとなり、8か月連続で増加していた。しかし、米国債の保有高そのものは9月は1兆1808億ドルと、8月の 1兆2005億ドルからは減少した。

 米10年債利回りの推移をみると9月はそれまでの低下基調から一転し、再び上昇基調となった。9月8日頃に2%近くまで低下していた米10年債利回りは、北朝鮮リスクが後退し、フロリダ州を直撃したハリケーン被害が警戒されたほど大きくないとの観測も加わり、12月のFOMCでの利上げ観測が再び強まったことなどから、リスク回避の巻き戻しにより上昇基調となった。9月末に米10年債利回りは2.33%台に上昇しており、中国の米国債保有高の減少は相場の下落過程での利益確定売りを急いだ可能性がある。

 ちなみに日本も8月の1兆1017億ドルから9月は1兆960億ドルに減少させており、やはり利益確定売りを進めていた可能性がある。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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