フランス大統領選挙の結果に市場は安堵
4月23日に実施されたフランス大統領選挙は、かなり混戦模様となっていたが、フランスの内務省によると、中道系独立候補のエマニュエル・マクロン元経済産業デジタル相(39歳)が得票率で首位、極右政党、国民戦線のマリーヌ・ルペン党首(48歳)が2位につけたようである。
フランス大統領の選挙日程が2回予定されているのは、第1回目の投票で全体の過半数の票を取った候補が出ない際に、投票率の上位2名によって決選投票が行われるためである。1965年以降、第1回投票で大統領に決まった候補者はなく、今回も過半数を取った候補者がいなかったことで、5月7日にマクロン候補とルペン候補の決選投票が行われることになる。
2002年の大統領選挙の際には1回目の投票で現職のシラク大統領に次いで、極右政党・国民戦線(FN)のジャンマリ・ルペン党首(マリーヌ・ルペン氏の父親)が2位で決選投票に進んでいた。決選投票では1回目の選挙で敗れた左派の社会党候補の支持者も、ルペン氏を当選させないために、ライバルであった保守系政党のシラク氏支持に回り、シラク氏が大差で勝利していたということもあった。
今回もすでに敗北宣言をした共和党のフィヨン元首相と社会党のアモン前教育相が、それぞれの支持者に対してマクロン氏への投票を呼びかけるなど、2002年の決選投票と同様の動きになり、決選投票ではマクロン候補が勝利するとの予想となっている。しかし、選挙は水ものでもあり絶対の予想もない。これは昨年の英国の国民投票や米国大統領選挙で実証済みであり、5月7日の決選投票の結果も要注意となる。
それでも今回の選挙で急進左派・左翼党のメランション氏とルペン氏という最悪の組み合わせは回避されたことで、金融市場ではリスク回避の反動のような動きとなっていた。メランション氏とルペン氏は両者ともに反EUを掲げていることで、いずれが大統領となっても、ユーロというシステムが揺るぎかねないことになる。しかし、マクロン候補とルペン候補の組み合わせならば、マクロン候補有利との見立てもあったことで、ひとまず市場は安堵したものとみられる。
外為市場ではリスク回避の反動で円安となり、ドル円は一時110円台を回復した。この円安もあり24日の東京株式市場は大きく上昇し、欧米の株式市場も上昇した。フランス国債が買い戻されて、ドイツや英国、そして米国債は売られた。反対にイタリアやスペイン、ポルトガルの国債が買われ、いわゆるリスクオフの動きとなった。金先物は下落した。