3月の都銀の国債売買高は過去最低水準
4月20日に日本証券業協会(JSDA)は3月の公社債投資家別売買高を公表した。発表される公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。それが下記となる。
3月の公社債投資家別差し引き売買高 注意、マイナスが買い越し、単位・億円
()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別
都市銀行-9524(-3686、-2743、-3081)
地方銀行-1201(-386、1794、-667)
信託銀行 13860(4720、2871、2838)
農林系金融機関-4591(-4301、146、0)
第二地銀協加盟行-47(-740、500、140)
信用金庫-1074(335、431、55)
その他金融機関-448(144、870、-1497)
生保・損保-7917(-7430、489、539)
投資信託-877(-549、-473、415)
官公庁共済組合 241(50、15、1)
事業法人-403(93、18、42)
その他法人-894(-540、117、133)
外国人-14551(8527、-8516、-14360)
個人 333(38、61、9)
その他-10097(-124、-1532、-2752)
債券ディーラー 838(83、980、-211)
都銀は9524億円の買い越しに転じた。マイナス金利となっている中長期ゾーンも買い越しとなっていたが、償還見合いに担保としての国債を購入していた可能性もある。
そして、データの残る2004年4月以降の国債(短期債除く)の売買高でみると、都銀の売買高は2兆8402億円と過去最低水準となった。ちなみにこの期間で最も売買高が多かったのは2012年4月で、この月は70兆1079億円もあった。売買高の増減は債券市場の動向により起こりえるが、決算月という要因もあったが、ここまでの低水準の売買高の最大の要因は日銀のマイナス金利政策によるものであろう。
売り越しで目立ったのが信託銀行の1兆3860億円の売り越しとなり、過去最大の売り越しとなったようである。
外国人は1兆4551億円の買い越しとなり、21か月連続の買い越しとなった。
国債の売買高で確認したところ、国債全体(短期債除く)の売買高はそれほど落ち込んではいない。海外投資家の売買高が比較的高い水準となっていることや、債券ディーラーの売買高が都銀の減少分をカバーしている格好となっている。