金融政策決定会合の回数を削減する理由
日銀は来年から金融政策決定会合の回数を削減する。具体的には展望レポートを議論・公表する会合を年4回開催し、その間に経済・物価情勢の変化などを議論する会合を開催することで、金融政策決定会合を年8回開催する(従来は年14回程度)とした。
「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)の公表を年4回とする。これまで展望レポートは、4月末と10月末に2回公表されていたが、1月と7月には展望レポートの中間レビューを行っていたことで、こちらが正式の展望レポートに格上げされて、都合年4回とする。
また、展望レポートで発表していた展望レポートにおける政策委員の経済・物価見通しについて、従来の政策委員の大勢見通しに加えて、全ての政策委員について各委員の見通しとリスク評価を公表するとした。
そして、決定会合における「主な意見」を作成し、決定会合終了後1週間を目途に公表するとした。決定会合の「議事要旨」は、従来と同様、次回決定会合で政策委員会の承認を受けた後に公表する。つまり、決定会合の内容は決定会合直後の公表文や当日の総裁会見である程度は明らかになるが、もう少し委員間の議論の中身を知りたくても、議事要旨は次回の会合後の公表となる。それでは次回の会合の動向を予想するには議事要旨はタイミングからは役立たない。それを補完する役目のものとなるのであろうか。
7月21日に発表された6月18、19日開催分の金融政策決定会合議事要旨における、金融政策決定会合の運営の見直しについて検討によると、「金融経済情勢が急激に変化した場合には、これまでと同様に、臨時の金融政策決定会合を開催して機動的に対応するとの認識を共有した」とある。これは政府などにも配慮したものではなかろうか。
日銀にとっては決定会合の回数がFOMCなどに比べて多く、ECBまでFOMCの回数に揃えてきたことで、日銀もそれに揃えたいとの思いは強かったと思われる。政府の反対などは特になかったのは、日銀プロパーではない黒田総裁であったためとの見方もある一方、イングランド銀行やECBまで年8回に揃えるとなると、日銀も揃えたほうが何かと都合が良いことが多いためと思われる。
『一人の委員は、情報発信はスピードと内容のバランスが重要と指摘したうえで、「主な意見」を会合後1週間程度という早期に、議事の概要を記した「議事要旨」を次回会合後にそれぞれ公表するのは、良い組み合わせであるとの見方を示した』
これについては「主な意見」と「議事要旨」の何が違うのかも確認したい。議事要旨の公表を早めた方が良いように思うが、それは物理的に無理があるのだろうか。
来年の決定会合の日程はまだ明らかにはされていないが、FOMCの日程に合わせてくることが予想される。念のため、2016年のFOMCの日程は、1月26~27日、3月15~16日、4月26~27日、6月14~15日、7月26~27日、9月20~21日、11月1~2日、12月13~14日となっている。