物価目標は重要ではないと浜田参与
浜田宏一内閣官房参与は4月13日に日本経済新聞の取材に応じ、日銀の物価目標に対して次のように答えた。
「インフレ目標はそんなに重要ではない。インフレを起こすのは国民に対する課税だからできるだけ避けたい。日銀も我々も2~3年前に石油価格が半分以下になるとは思っていなかった。その責任を日銀がとる必要はないから(エネルギー価格の影響などを含んだ)消費者物価指数を目標とするのは合理的ではない。(デフレの主因である)需給ギャップが狭まっていることは間違いない。2%というのはどちらかといえばインフレの上限とみるべきだ」(日経電子版の記事より引用)
日銀は現在、「2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、量的・質的金融緩和を継続する」としている(4月13日の日銀支店長会議における黒田総裁の挨拶より)。
この2%の物価目標達成のため行ったのが2013年4月の量的・質的緩和(通称、異次元緩和)と2014年10月の量的・質的緩和の拡大(異次元緩和第二弾)であった。これはアベノミクスと呼ばれた経済政策の柱であり、そのアベノミクスを先導した人物の一人が浜田宏一内閣官房参与である。その浜田参与は、あれだけ必死に行っている日銀の物価目標達成は重要ではないと発言した。さらに物価目標が達成できなかったのは、予想していなかった原油価格の下落であるとし、需給ギャップが狭まっているであろうから、問題ないとの認識である。
浜田参与は13日夜のBSフジの番組でも発言しており、日銀の2%の物価目標について、「こだわる必要はない。無理に2%に持っていく必要はない」とした上で、変動しやすいエネルギーの影響を除くためコアコアCPI(生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価)を目標にすべきだとし、目安として1%程度を挙げたそうである。
参考までに2月の消費者物価指数では消費増税の影響を除いて、日銀の物価目標である総合が前年比プラス0.2%、最も重視され日銀の物価予測の基準となっているコア指数(生鮮食品を除く総合)が前年比ゼロ%、そして浜田参与が目標にすべきとしたコアコア指数(食料及びエネルギーを除く総合)も前年比ゼロ%となっている。ここにきての物価下落は原油価格下落の影響も大きいが、それを除いてもほとんど変わらないことが伺える。
コアコアCPIであれ、前年比でプラス1.0%程度であれば、黒田総裁以前の日銀のスタンスとあまり変わらない。それではいったい債券市場の流動性を低下させた上に、財政ファイナンスのリスクを増加させた異次元緩和とその第二弾の意味はいったい何であったのであろうか。