2022年度末に国債残高1000兆円台との試算
財務省は6日に「平成25年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」と「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」という資料をサイトにアップした。
「平成25年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」 http://www.mof.go.jp/budget/topics/outlook/sy2503a.htm
「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」 http://www.mof.go.jp/budget/topics/outlook/sy2503b.htm
これによると、2013年度末の公債残高予想が732兆円程度なのに対し、2022年度末の公債残高は1015兆円程度となり、1000兆円の大台に乗ると予想されている。この試算は「平成25年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」の「[試算A-1] 【歳出自然体・経済成長3%ケース】」の数値を前提に置いている。
このうち国債費の試算するにあたっての長期金利は、2013年度が1.8%、2014年度2.0%、2015年度2.2%、2016年度以降は2.5%としている。
国の借金にはいろいろな捉え方があるため、具体的にどの程度あるのかは見方によって異なるが、「国債及び借入金並びに政府保証債務」でみるとすでにトータルで1000兆円近くある(2012年12月末997兆円)。今回の試算にある公債残高とはこのうちの政府短期証券などを除く国債残高だけを推計したものである。
この試算には、消費税率の引上げ(平成26年4月に8%、平成27年10月に10%)についても税収に反映されている。
歳出と税収の差額を見ると(試算A-1])、2012年度44.2兆円、2013年度42.9兆円、2014年度44.6兆円、2015年度43.7兆円、2016年度は41.8兆円となっている。2012年度と2013年度を除き、この額が必ずしも新規国債発行額となることを意味するものではないが、国債発行等で補わなければならない部分である。つまりこの数字は、たとえ3%成長となり、さらに消費増税があっても大きくは減少しないため、国債の残高はさらに膨らみ続ける試算となっている。
利払い費の前提となる長期金利については、2012年4月から2013年2月末までを手元で計算すると平均が約0.8%なので(元データは財務省の金利情報)、すでに1%程度乖離がある。今後の長期金利の予測については、2%の物価目標の影響を考えるとこれまで以上に難しくなる。少なくとも3%の名目成長率が達成されるとすれば、大きな節目とされる2%をいずれ超えて来るであろうと予想される。
今後の次元の違う金融政策の柱が国債買入増額となるのであれば、歳出と税収の差額部分程度の国債は日銀が購入してくることも予想される。3%程度の名目成長が達せられ、物価も上昇し、それに応じて長期金利が上昇した際に、現在の国債を大量に保有している金融機関はどのような行動に出ているのか。貸出の増加等により、その分保有額を減少させてくることも考えられる。そうなると日銀による国債の買入の影響度がさらに高まることも考えられ、これが積極的な金融政策の出口を難しくさせることも予想されるのである。