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青森県は引き続き大雨に厳重警戒を なぜ今季は東北で大雨が多いのか?

小杉浩史気象予報士 / ウェザーマップ所属
9日(火)午後1時の雨雲レーダー(提供:ウェザーマップ)

きょう9日(火)は青森県や秋田県で大雨になっていて、青森県西部を流れる岩木川では氾濫危険水位に達しています。しかもこの雨はきょうで終わりではなく、この先も降り続く予想のため洪水や土砂災害に厳重な警戒が必要です。

大雨に見舞われ続けている東北地方

今年の夏は東北地方が相次いで大雨に見舞われています。

今夏は東北地方の各地で大雨に(ウェザーマップ提供のものを筆者加工)
今夏は東北地方の各地で大雨に(ウェザーマップ提供のものを筆者加工)

7月15~16日は宮城県で大雨になり、名蓋川の堤防が決壊したことなどで広範囲に浸水被害が出ました。また8月3~4日は新潟県・山形県・福島県に線状降水帯による雨雲がかかり続け、山形県内を流れる最上川で氾濫が発生。そして今回の青森県の大雨です。なぜ今年の夏は東北地方でここまで大雨が多いのでしょうか?

根本の原因は太平洋高気圧にあります。

関東から西では連日猛暑が続いています。これは日本の南にある太平洋高気圧に覆われているためではありますが、今年の太平洋高気圧は、力は強いものの北への張り出しが弱いのです。

きょう9日(火)の太平洋高気圧の様子(提供:ウェザーマップ)
きょう9日(火)の太平洋高気圧の様子(提供:ウェザーマップ)

上の図は上空約5500mの太平洋高気圧の大きさを表したもので、オレンジ色の部分が太平洋高気圧です。

東~西日本はしっかりとこの高気圧に覆われていますが、北への張り出し方は控えめで北海道や東北北部は顔を出している状態です。先月の宮城県の大雨の時や先週の山形県・福島県の大雨の時も、太平洋高気圧は南に退いていて東北地方はその勢力圏外になっていました。

3日(水)の太平洋高気圧の様子(提供:ウェザーマップ)
3日(水)の太平洋高気圧の様子(提供:ウェザーマップ)

しかも高気圧というのは空気を送り出すポンプのような働きがあります。太平洋高気圧の力が強いと、その縁にあたる地域には湿った空気が送り込まれます。

東北地方にはたびたび大量の水蒸気が流れ込み、ここに上空の寒気の強まりや風同士のぶつかり合いなどが重なることで、各地で大雨になりました。太平洋高気圧がもっと北まで張り出せば東北地方も安定した晴天が続くようになるのですが…。

青森県などは続く大雨に厳重警戒を

今後も太平洋高気圧は「南では強いけど、北には張り出さない」という状況が続きます。それによって青森県周辺では前線による雨雲がこの先もかかり続ける見込みで、日ごとに強弱はあれども丸1週間近く雨が降り続くおそれがあります。

10日(水)の雲と雨の予想(提供:ウェザーマップ)
10日(水)の雲と雨の予想(提供:ウェザーマップ)

11日(木)の雲と雨の予想(提供:ウェザーマップ)
11日(木)の雲と雨の予想(提供:ウェザーマップ)

気が休まらないというのは辛い状況だとは思いますが、青森県を中心とした東北北部では河川の氾濫や土砂災害などに引き続き厳重に警戒をして、早めに安全を確保するようにしてください。

気象予報士 / ウェザーマップ所属

東京都出身。大学卒業後、会社員やフリーターなどを経て、2012年に気象予報士を取得。2015年からミヤギテレビにて気象キャスターとして出演中。趣味はバイクに乗ること、目標は「宮城の天気と言えばこの人!」と言われること。南東北の北東から、天気の怖さと面白さをお伝えします。

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