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『宮城県 大雨警戒レベル1発表中です』 あなたはどうしますか?

小杉浩史気象予報士 / ウェザーマップ所属
(内閣府・消防庁作成の警戒レベルに関するチラシより抜粋)

きょうの宮城県は高気圧に覆われて青空が戻ってきました。

ただこの高気圧はゆっくり東に抜け、代わってあさって15日(土)は低気圧が発達しながら本州付近に近づいてきます。

15日(土)の雨と風の予想(提供:ウェザーマップ)
15日(土)の雨と風の予想(提供:ウェザーマップ)

宮城県でも土曜日は雨や風が強まって荒れた天気になるおそれがあり、仙台管区気象台は宮城県に『大雨警戒レベル1』を発表しています。

大雨警戒レベルとは?

昨年7月の平成30年7月豪雨(通称:西日本豪雨)においては、気象庁や自治体から「避難勧告」「大雨特別警報」「土砂災害警戒情報」「〇〇川氾濫警戒情報」など、ありとあらゆる「〇〇〇〇情報」が発表されました。

ただあまりに情報が多すぎて、かえって住民が情報の意味を理解できず避難行動に結びつかなかったという反省を踏まえ、5月29日より「大雨警戒レベル」というものが運用されています。

これは何か新しい制度が始まったというよりは、これまであった情報を整理して、レベル分けして発表するものです。

気象庁ホームページより「5段階の警戒レベルと防災気象情報」
気象庁ホームページより「5段階の警戒レベルと防災気象情報」

大雨警戒レベルは1~5の5段階で、数字が大きくなるほど危険度が高いことを意味します。

・レベル3は高齢者など避難行動に時間のかかる方は避難を開始する段階

・レベル4は当該地域の方は全員避難を開始する段階

・レベル5は災害が発生した段階

ですので、レベル4までに避難行動を終えている必要があります。

と、ここまでは既にテレビなどでも報道されていますが、あまり報じられていない「レベル1」が宮城県に現在発表されています。

大雨警戒レベル1とは?

レベル1~2は自治体ではなく気象庁が発表するもので、レベル1は「早期注意情報『災害への心構えを高める』」となっています。

この「早期注意情報」とは、警戒レベルの運用が始まるまでは「警報級の可能性」という名前でした。

気象庁は向こう5日間、雨・雪・風・波が警報レベルに達するおそれがあるかどうかを「警報級の可能性」という名前でホームページ上に公開していました。この「警報級の可能性」が「早期注意情報」という名前に変わっただけのことです。

気象庁ホームページより 6月13日17時現在の宮城県東部の早期注意情報
気象庁ホームページより 6月13日17時現在の宮城県東部の早期注意情報

宮城県においては、15~16日は大雨・暴風・波浪の警報の可能性が「中」程度あるとして、警戒レベルが1になっています。ただ警戒レベルはあくまで「雨」が対象なので、暴風・波浪は警戒レベル1というわけではありません。

理解できますか?今この文章を書いている私でも、頭が混乱する話です。

要はテレビでよく聞く「今後の気象情報にご注意ください」というだけのことです。何か即座に行動を起こさなければならないわけではありません。

ただそうした所にまでこの「警戒レベル」を持ち込んだことで、より制度が複雑になっているように私は思います。まだ運用が始まったばかりなので浸透していないというのもあるかと思いますが、将来的にはもっと簡素化された情報体系になることを願います。

何はともあれ、週末は荒れた天気になる可能性があります。

今後の情報にご注意ください。

気象予報士 / ウェザーマップ所属

東京都出身。大学卒業後、会社員やフリーターなどを経て、2012年に気象予報士を取得。2015年からミヤギテレビにて気象キャスターとして出演中。趣味はバイクに乗ること、目標は「宮城の天気と言えばこの人!」と言われること。南東北の北東から、天気の怖さと面白さをお伝えします。

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