今年(2021年)9月は、日本の個人投資家が原油(価格)に投資する環境が一気に整備される予定だ。大阪取引所が9月21日に「CME原油等指数先物(略称:CME原油先物)」を、東京金融取引所が9月13日に「原油ETFリセット付証拠金取引」を、それぞれ上場するためだ。

既に原油投資を行っている投資家はもちろん、これまで原油投資を経験したことのない投資家にとっても、従来以上に原油に投資しやすい環境が整備されることになる。

■大阪取引所の「CME原油先物」とは?

大阪取引所が上場する「CME原油先物」は、CME原油等指数を対象とした先物取引になる。CMEグループのNYMEXで取引されているWTI原油、RBOBガソリン、NY Harbor ULSDヒーティングオイルの三つのエネルギー先物で構成される指数になる。

上場時の指数の構成比率は、WTI原油が72%、ガソリンが13%、ヒーティングオイルが15%になる予定だが、WTI原油の構成比率が高いこと、ガソリンとヒーティングオイルはともに原料である原油価格と連動するため、事実上はWTI原油先物に近い値動きをすることになる。

その他の特徴としては、外貨建てではなく円建てで取引されるため、為替(ドル/円相場)の動向や為替コストを考慮に入れる必要がないことがある。すなわち、純粋に原油(価格)に対する投資が可能になる。また、現金決済型のため、取引の終了に際して原油やガソリン、ヒーティングオイルの現物を受け渡しするリスクもなく、純粋に原油価格の値動きによる利益と損失だけが発生することになる。

「CME原油等指数先物」取引要綱(JPXウェブサイト)

CME原油等指数先物(略称:CME原油先物)

■東京金融取引所の「原油ETFリセット付証拠金取引」とは?

東京金融取引所が上場する「原油ETFリセット付証拠金取引」は、WTI原油価格連動型上場投信(証券コード:1671)を原資産とする証拠金取引である。こちらは原油(価格)に直接投資するものではなく、円換算した「NYMEXにおけるWTI原油先物の直近限月の清算値」との連動を目指すETFに投資するものである。

商品設計上は原油ではなくWTI原油価格連動型上場投信が投資対象になるが、この上場投資信託はWTI原油価格との連動を目指すため、事実上はWTI原油に投資するのと近い投資パフォーマンスを得られることになる。また、決済は反対売買で行われるため、原油や原油ETFの受け渡しを伴うことはなく、個人投資家にとっても取り扱いやすい商品設計になっている。一方で、為替の影響を受けるため、円安環境ではパフォーマンスが向上する一方、円高環境では逆にパフォーマンスが低下することになる。

「原油ETFリセット付証拠金取引」取引要綱(東京金融取引所ウェブサイト)

金ETFリセット付証拠金取引及び原油ETFリセット付証拠金取引上場日のお知らせ

■個人投資家も容易に原油投資ができる環境に

経済ニュース等で目にするWTI原油(NY原油)は日本の個人投資家にとって馴染みはあっても直接投資が難しかったが、今後は大阪取引所の「CME原油先物」や東京金融取引所の「原油ETFリセット付証拠金取引」に投資することで、WTI原油に投資するのに近いパフォーマンスを得ることが可能になる。

ともに値上がりを予想する「買い」だけではなく値下がりを予想する「売り」からの取引が可能である。また、証拠金を担保にレバレッジを効かせて資金効率の良い取引が可能な一方、ハイリスク・ハイリターンな取引になる。

既に大阪取引所の先物・オプション口座を開設している投資家の場合は、日経225miniや金標準先物と同じ口座で、証拠金や損益を通算した取引が可能になる。例えば、日経225miniなどの投資経験がある場合、原油も容易に積極投資・分散投資の対象に加えることが可能になる。

一方、東京金融取引所の「くりっく株365」の口座を開設している投資家の場合は、日経225やNYダウなど国内外の株価指数の証拠金取引、そして今回同時に上場される「金ETFリセット付証拠金取引」と同じ口座で取引が可能になる。

もちろん、これを機会に大阪取引所の先物・オプション口座、東京金融取引所のくりっく株365口座を開設して、原油投資にトライしてみるのも良いだろう。実際にはともにWTI原油との連動性を目指すといっても、商品設計の違いから投資パフォーマンスに違いが生じることになる。また、投資家個人の好みの問題もあるため、一概にどちらが投資対象として適切ということはできない。ただ、いずれにしても経済ニュースでしかみることのできなかったWTI原油(NY原油)に投資できる環境が一気に整備されるため、興味がある方は、これを機会に原油投資も検討してみても良いだろう。