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NY原油13日:続落、IEAが過剰在庫のクッションを報告

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油12月限 前日比1.10ドル安

始値 41.61ドル

高値 42.21ドル

安値 40.22ドル

終値 40.74ドル

国際エネルギー機関(IEA)月報で需給緩和状態が再確認される中、続落した。8月27日以来の安値を更新している。

アジアタイムは41.50ドル水準で下げ止まり、欧州タイム入り後には42ドル台まで切り返すような場面も見られた。しかし、ニューヨークタイムに入ると改めて戻り売り圧力が強まり、一気に40.50ドル水準まで値位置を切り下げている。IEAは11月月報においては、先進国に過去最高となる30億バレルもの在庫が存在していることに懸念を表明した。突発的な供給トラブルなどに「クッション」があるとして、原油価格の低迷リスクを再確認している。今報告では需要見通しに特に大きな修正が見られなかったこともあり、原油相場は素直に売り反応を示している。

今後は冬の需要期に向かうため、IEAも気温動向次第では一定の需給引き締まり圧力も想定していることを明らかにしている。ただ、今年の欧州と米国では暖冬予報であり、この予報が実現すれば原油価格に対して更にした押し圧力が強まるとの見通しも提示されている。

IEA月報の内容にはサプライズ感まではないが、改めて需給緩和状態・見通しが提示されたことが、原油相場の上値の重さも再確認する結果につながっている。今後は季節要因から一定の安値是正の動きも想定されるが、米原油在庫の絶対水準が前年同期を1億バレル前後上回った過剰状態を維持している以上、反発力は限定されることになる。寒波などの支援があれば50ドル台を回復する程度のエネルギーは十分にあると考えているが、なお原油相場は安値低迷状態を継続する必要性が高い。もっとも、既にシェールオイル生産環境が大きなダメージを受ける中、40ドル割れから本格的な値崩れを起こすとは考えておらず、フランスのテロなどを手掛かりに突っ込むような動きが見られるのであれば、中長期スパンで買い拾っても問題はないだろう。引き続き、35~60ドルという比較的大きめのレンジ内での上下動を想定している。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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