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NY金12日:根強い利上げ先送り観測で続伸

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金12月限 前日比8.60ドル高

始値 1,155.00ドル

高値 1,168.60ドル

安値 1,154.30ドル

終値 1,164.50ドル

引き続き米国の利上げ先送り観測が下値を支え、続伸した。

アジアタイムからじり高の展開になっていたが、欧州タイム入り後に急伸した。ドル相場がほぼ横ばい推移になるなど目立った材料は見当たらなかったが、なお10月2日に発表された9月米雇用統計がネガティブ・サプライズとなった余波が続いている。週末には複数の米金融当局者から年内利上げの可能性も存在するとの見方が示され、フィッシャー米連邦準備制度理事会(FRB)副議長も、米経済は年内利上げ実施に値する十分な力強さを備えている可能性があるとの見方を示している。アトランタ連銀のロックハート総裁は更に踏み込んで10月会合での利上げ着手の可能性もあると明言しているが、金市場では利上げ着手に対する信認を高めていくことに失敗している。

最近の米当局者の発言からは、マーケットが年内利上げの可能性を排除し始めていることに若干の危機感も見受けられるが、9月雇用統計の数値からは10月27~28日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ着手は困難であり、12月会合までに二回発表される雇用統計の結果を見極めたいとの慎重ムードが強い。

既に8月中旬以降のボックス上限に差し掛かっていること、追加金融緩和の可能性などは殆ど議論されていないことを考慮すると、特に金相場を積極的に買い進むような必要性は見当たらない。ただ、改めて売り込むには米金融政策の正常化プロセスに対する信認を高めていくことが要求される。米金融当局者からは極端なハト派に傾いた金融政策見通しをタカ派方向に引き寄せる動きが活発化しているが、米実体経済の底固さを再確認するまでは、金相場の急落リスクは限定される。戻り売り基調は維持されていると考えているが、利上げ着手の方向性が再確認できる材料待ちの地合になる。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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