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NY原油14日:米在庫減少観測で続伸、ドル安に逆行

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油6月限 前日比0.62ドル安

始値 60.10ドル

高値 60.84ドル

安値 59.36ドル

終値 59.88ドル

短期的に米国内で需給緩和圧力が強まるとの観測から、続落した。

前日に米エネルギー情報局(EIA)が発表した製油所稼働率は前週比-1.8%の91.2%と大きく低下したことで、短期的には製油所向け原油需要が抑制されることが、米国内で在庫積み増しを促すとの見方につながっている。米製油所は季節要因の影響もあって高い稼働率を維持してきたが、特に目立った製油所トラブルなどの報告が聞かれない中で稼働率が低下したことが、短期的な需給緩和圧力を強めるとの見方に直結している。

為替市場でドル安傾向が維持される中、本格的に売り込むような動きまでは見られない。ただ、シェールオイルの増産ブレーキが需給緩和につながるのか疑問の声が上がり始めていることもあり、本日は調整売りが優勢になった。製油所稼働率は5月20日まで新しい統計がないため、需給要因からは目先大きく上昇することは困難に。

イランがペルシャ湾でシンガポール籍の商船に警告射撃を行っているが、地政学的リスクのプレミアムを織り込むような動きは見られなかった。UAEの湾岸警備隊が救助したことで、シンガポール船籍は救助されている。

急激な原油高は一服しているが、ドル安傾向が続いている間は、大きな値崩れは起きづらい。目先はドル高回帰の動きと連動して調整圧力が強まる展開を想定しているが、依然としてドル安傾向が続いていることが、下値をサポートしている。需給面では、米国のシェールオイル生産が鈍化し始めているが、石油輸出国機構(OPEC)などの大量供給が続く中、緩和状態は維持される。需給要因から買い進む必要性は乏しく、ドル安にブレーキが掛かれば調整圧力が強まろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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