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NY金17日:FOMCを控えて戻り売り優勢、小反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金4月限 前日比5.00ドル安

始値 1,153.70ドル

高値 1,159.30ドル

安値 1,141.60ドル

終値 1,148.20ドル

3月17~18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を控えているが、戻り売り圧力が強く反落した。

アジア・欧州タイムは1,155ドル水準の狭いレンジで揉み合う展開になったが、ニューヨークタイム入り後に売られる展開に。特に決め手となるような材料は見当たらず、為替市場でもイベントを控えてドル売り攻勢が一服している。ただ、金市場ではFOMCで米利上げ着手に向けての動きが見られることに対する警戒感が根強く、改めて1,150ドルの節目割れを試す展開に。原油相場が急落し、CRB商品指数が前日に続いて年初来安値を更新したこともネガティブ。2月米住宅着工件数の発表直後に売買が交錯する場面も見られたが、大きな値動きには発展しなかった。

引き続きFOMC待ちのムードが強く、積極的に仕掛けるような動きは見られない。3月6日に発表された2月米雇用統計、更にはベージュブック(地区連銀経済報告)の内容を考慮すると、少なくとも景況判断は上向き改訂の可能性が高く、声明文では金利フォワードガイダンス修正の可能性が高くなっている。ただ最近の傾向からは、一気に「辛抱強く」の文言を削除して新たしい表現にするのかは不透明感も強く、短期的な材料出尽くしを警戒する向きも多い。特に、今回はイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見も予定されているが、議長が利上げについて更に踏み込んだ発言を行うのかは疑問視されることもあり、FOMCがどのような政策判断を示すのかを見極めたいとのムードが強い。

このまま金融市場の大きな動揺などがなければ、ドル相場上昇・金相場下落のトレンドに修正を迫るのは難しい。価格低下でも現物筋からの引き合いは想定されていた程に強くなく、なお投機売り主導で下値を模索する余地は多く残されている。ドルインデックスやCRB商品指数との比較では依然として割高感の残る価格水準であることを再確認したい。FOMCに関しては、一時的な戻り圧力が発生するか否かの視点でみておけば十分だろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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