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ピンタレストが「減量」「痩身」広告全面禁止、「SNS政治家排除禁止法」は違憲 新法差し止め

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

筆者が注目した海外発最新テクノロジーニュース3本をダイジェストで

[1]ピンタレストが「減量」「痩身」広告全面禁止

画像検索・共有サービスの米ピンタレストが「減量」や「痩身(そうしん)」に関する広告を全面禁止すると、ロイターが7月1日に報じた

文字や画像での表現をはじめ、特定の体形を理想化したり、否定・侮辱したりすることを禁じる。減量・痩身のサービスや商品に関する「個人の感想」も認めない。BMI(体格指数)などの指数を取り上げて比較することも許可しない。

同社ではこれまで「ボディーシェイミング」(外見を主観的基準で判断・評価し批判すること)や危険な減量に関する広告や投稿を禁じてきたが、ポリシーを変更し減量全般など対象を大幅に拡大した。

健康的なライフスタイルや生活習慣、フィットネス関連サービス・商品の広告は認めるものの、減量・痩身を強調するものは禁止する。

[2]アマゾン、自律走行宅配ロボットの開発拠点新設

出所:米Amazon.com
出所:米Amazon.com

米アマゾン・ドット・コムは7月1日、フォンランドのヘルシンキに、自律走行の小型宅配ロボット「Amazon Scout(アマゾン・スカウト)」の開発センターを開設すると明らかにした。生活圏での走行で障害物を回避し、安全に商品を届けるための3次元(3D)ソフトウエアを開発する。

アマゾン・スカウトは小型クーラーボックスほどの大きさの歩道走行ロボット。6つの車輪を備え、人が歩く速度で走行する。顧客宅前に到着すると、自動で上部が開き、顧客が中に入っている商品を取り出すという仕組み。

2019年1月にアマゾン本社のある米ワシントン州シアトルの郊外で実証実験を開始。現在は米国内4カ所で運用している。物流施設から顧客宅に商品を届ける最終経路は「ラストマイル」と呼ばれ、同社はこの業務の迅速化と効率化を目指している。

ヘルシンキの開発施設では当初、二十数人のエンジニアで開発を進めるが、今後人員を増やしていく予定。米シアトルや英ケンブリッジ、独テュービンゲンの技術者とも連携する。

[3]「SNS政治家排除禁止法」は違憲 米フロリダ州の新法差し止め

SNS(交流サイト)の運営企業が政治家をプラットフォーム上から排除することを禁じる米フロリダ州の新法を巡る裁判で、米連邦地裁は6月30日、新法は違憲とする判断を示し、法の施行を一時差し止めるよう命じた。ロイター米ウォール・ストリート・ジャーナルが同日に報じた。

同州では2021年5月24日、選挙候補者のSNSアカウントを凍結したり、削除したりすることを禁じる新法が成立。21年7月1日に施行する予定だった。新法の下、州全域にかかる公職の候補者をプラットフォームから締め出したSNS企業に対し、1日につき25万ドル(約2800万円)の罰金を、地域の公職候補者に対するアカウント凍結などの行為には同2万5000ドル(約280万円)を科すとしていた。

これに対し、米ツイッターや米グーグルなどが加盟する業界団体は新法が違憲だとして、5月下旬に訴えを起こしていた。フロリダ州北部地区連邦地裁のロバート・ヒンクル判事は同日に公表した文書で、「この新法は、表現の自由を保障する憲法修正第1条に違反する」と述べた。

21年1月6日に起きたトランプ前米大統領支持者による連邦議会議事堂の襲撃事件を受け、米フェイスブックは同氏のアカウントを無期限で凍結した。ツイッターは永久停止措置を取り、ユーチューブは同氏のチャンネルの一部動画を削除するとともに新規投稿を禁じた。こうした措置について、共和党議員などの間で「保守的な意見を抑制したり検閲したりしている」との不満がくすぶっていた。

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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