iPhoneの最新OSでアマゾンの広告事業さらに成長へ、インドとカナダでは「プライムデー」延期
筆者が注目した海外発最新テクノロジーニュース2本をダイジェストで
[1]iPhoneの最新OSでアマゾンの広告事業さらに成長へ
米アップルが先ごろ配信を始めたスマートフォン「iPhone」などの最新OSによって、米アマゾン・ドット・コムの広告事業がさらに成長する可能性があると、米CNBCが5月6日に報じた。
アップルは、ターゲティング(追跡型)広告の配信時に必要となる端末固有の広告用識別子「IDFA」をアプリが取得する際、ポップアップ画面を出し利用者に許可を求めることを義務付けた。
「このアプリが他社のアプリやウェブサイトを横断してあなたのアクティビティ(行動)を追跡することを許可しますか?」
「iOS14.5」に更新すると、アプリを最初に立ち上げる際、こうしたポップアップ画面が表示される。利用者は「アプリにトラッキング(追跡)しないように要求」あるいは「許可」を選ぶことができる。
多くの利用者が前者を選択すると予想され、これによりターゲティング機能の精度が下がり、アプリ運営企業の広告収入が著しく減少するとみられている。
だが、アマゾンは世界で2億人のプライム会員を抱え、自社で膨大な量の顧客行動情報を持つ。商品や広告の閲覧履歴や、購入履歴などだ。
消費者がアマゾンのiPhone向けアプリで追跡を拒否しても、その影響は軽微。むしろアマゾンのデータがより希少で価値のあるものになるという。メーカーや販売業者にとってアマゾンの電子商取引サイトが効果的な広告媒体になると報じている。
アマゾンは先ごろ2021年1〜3月期の決算を発表した。ネット広告事業がほとんどを占める「その他事業」の売上高は69億500万ドル(約7530億円)。前年同期から77%増と、急成長した。
[2]アマゾン、インドとカナダで「プライムデー」を延期 爆発的感染拡大で
米アマゾン・ドット・コムがインドとカナダで、会員向け年次大型セール「プライムデー」を延期すると、米CNBCが5月6日に報じた。新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大を受けた措置だという。
インド政府は5月6日、1日の感染者数がこれまでで最も多い41万人超になったと発表した。過去1週間の新規感染者数は世界全体の46%を占めた。病床や医療用酸素が不足しており、医療提供体制が逼迫している。
カナダでは4月に感染率が初めて米国を上回った。ワクチン接種率は米国に比べて低い状態が続いているという。
CNBCによると、プライムデーはインドとカナダ以外で予定通り開催する。売り上げが減少する夏場の販売促進策として2015年から毎年7月に開催していたが20年はコロナの影響で10月半ばに延期した。
アマゾンは先月の決算発表で、21年は6月に開催すると明らかにした。アマゾンのブライアン・オルサブスキーCFO(最高財務責任者)は決算発表の電話会見で「7月は多くの国が休暇時期。消費者や販売業者にとって6月開催が望ましいだろう」と述べた。