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アップルが音楽配信サービスの報酬開示、フェイスブックはClubhouseに似たサービス発表か

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
画像出典:米Apple

筆者が注目した海外発最新テクノロジーニュース2本をダイジェストで

[1]アップルが音楽配信サービスの報酬を開示、1回当たり1円

米アップルが、有料音楽配信サービス「Apple Music」でアーティストに支払っている報酬を初めて明かしたと、米ウォール・ストリート・ジャーナルが4月16日に報じた

アーティストが受け取っている金額は1回の再生に付き0.01ドル(約1円)だという。

アップルはアーティストに直接報酬を支払っているわけではない。まず、レコード会社や音楽出版社などの著作権者に楽曲使用料を支払い、その後、著作権者がそれぞれの契約に基づきアーティストに報酬を支払う。

コロナ禍で公演収入を失った音楽業界は、楽曲使用料の引き上げを求める声を強めており、音楽配信業者では信頼性獲得のために報酬を開示する動きが広がっているという。

アップルの競合であるスウェーデン・スポティファイ・テクノロジーは、1回の再生に付き0.01ドルの約3分の1から半分程度を払っている。

アップルが2019年6月に公表したApple Musicの会員数は6000万人超。

これに対し、スポティファイの有料会員は1億5500万人で、広告付き無料サービスの利用者を含めたアクティブユーザー数は3億4500万人。米アマゾン・ドット・コムは20年1月に「Amazon Music」の世界利用者数が5500万人を超えたと明らかにした。

[2]フェイスブック、Clubhouseに似たオーディオサービス発表か

米フェイスブックが、“ソーシャル・オーディオ”関連のサービスを現地時間4月19日に発表すると、米メディアのリコードが同18日に報じた

2020年に開始したビデオ会議「ルームス」の音声版だという。音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」のように登壇者の話を聞いたり、会話に参加したりできるサービスも準備中。

このほか、短い音声メッセージをニュースフィードに投稿できるサービスや、スウェーデン・スポティファイ・テクノロジーのポッドキャスト(音声番組)を発見できるサービスも発表する可能性があると報じている。

フェイスブックは、クリエーターとオーディエンスが質疑応答するアプリ「ホットライン」の公開テストを始めたとも伝えられている。

ツイッターは21年2月から「スペーシズ(Spaces)」と呼ぶ音声によるライブ討論機能を一部利用者を対象にテストしている。クラブハウスが人気を博したことを受け、SNS各社はオーディオ関連サービスの開発に力を入れているという。

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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