米アマゾン・ドット・コムは先ごろ、自動運転技術を手がける米国のスタートアップ企業、ズークス(Zoox)を買収することで同社と合意した

配車サービス用自動運転EV開発

 ズークスは、2014年創業のカリフォルニア州フォスターシティーに本社を置く企業で、配車サービス用自動運転の電気自動車(EV)を開発している。

 買収手続きは今後、当局の承認などを得て完了するとしている。ズークスは買収後も独立会社として存続し、CEO(最高経営責任者)のアイシャ・エバンス氏と共同創業者でCTO(最高技術責任者)のジェシー・レビンソン氏が統括していく。

 両社は買収金額を明らかにしていないが、英フィナンシャル・タイムズによると、12億ドル(約1300億円)以上。

 2009年以降のアマゾンの企業買収では、アパレルの電子商取引企業である米ザッポス・ドット・コムやセキュリティーカメラ付き玄関ドアチャイムを手がける米リング、処方薬ネット販売の米ピルパックなどの金額を上回る。

 アマゾンにとって、米高級スーパーマーケットチェーンのホールフーズ・マーケットに次ぐ、2番目に大きな買収案件で、自動運転分野では過去最大だ。

自動運転モードの航続距離3位

 ズークスは、カリフォルニア州での公道走行試験の2018年実績で、米グーグル系の自動運転開発会社の米ウェイモと米ゼネラルモーターズ(GM)の自動運転車開発部門GMクルーズに続く3位。

 ソフトウエアが自動運転の不具合を検知したり、テストドライバーが異常に気づいたりして、自動運転を解除する状況を「ディスエンゲージメント」と呼ぶが、ズークスは、1回のディスエンゲージメントが発生するまでの走行距離の順位もウェイモとGMクルーズに続く3位。「技術力の向上が素晴らしい」とアナリストは評価しているという(図1)。

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 ズークスは今後、アマゾンの資金力を得て「創業以来の構想である安全でクリーンな、楽しめる輸送システムを世に送り出す」としている。

 ズークスの開発が順調に進めばアマゾンは、いわゆる「ロボットタクシー」市場に進出することになり、同様に開発を進めている米ウーバーテクノロジーズや米リフト、GMクルーズなどに競争圧力をかけるだろうと、フィナンシャル・タイムズは伝えている。

物流事業拡大計画の一環、気候変動対策も

 一方で、米ウォールストリート・ジャーナルは、アマゾンが自社物流事業拡大の一環として自動運転技術に注目していると伝えている。

 アマゾンは新興のEVメーカー米リビアン・オートモーティブと自動運転技術開発の米オーロラ・イノベーションに出資している。

 リビアン・オートモーティブは、ピックアップトラックとSUV(多目的スポーツ車)のEVを開発している。今年1月には、その第1弾市場投入モデルの価格の一部を公表した。アマゾンはリビアンに10万台の配送用EVを発注しており、2021年の導入を予定している。

 オーロラは、前述したグーグル系のウェイモの立ち上げに携わった人物がCEOを務めている。同社は昨年6月、欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と自動運転車の共同開発で基本合意している。

 アマゾンはこうしたモビリティー(移動)分野に注力し、物流事業の効率化やコスト削減、規模拡大を狙うほか、気候変動対策の一環と位置付け、積極投資を続けている。

  • (このコラムは「JBpress」2020年6月30日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて再編集したものです)