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アップルが新たなハードウエアを来年続々投入か、当たり屋アナリストが次期iPhoneやAR眼鏡を予測

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

普及モデルの新型機「iPhone SE2」

 米CNBCは先ごろ、アップルが来年(2020年)の1〜3月期にiPhone普及モデルの新型機「SE2」を発売すると報じた

 アップル製品の市場動向やサプライチェーン情報に詳しい、中国TFインターナショナル証券の著名アナリスト、ミンチー・クオ氏が予測したものだ。

 それによると、SE2の本体にはiPhone 8に似たデザインを採用し、プロセッサーは今年9月に発売したiPhone 11と同じ「A13」を搭載するという。

 アップルが2014年と2015年に発売した6シリーズを今も利用している人は世界に1億人以上いるとみられる。だが、6シリーズは最新OS(基本ソフト)の「iOS 13」に対応していない。

 このタイミングで最新の廉価モデルを市場投入すれば、これら利用者の需要を喚起できるとクオ氏は予測している。また、アップルが最近力を入れている音楽や動画、ゲーム、電子雑誌などのサブスクリプションサービスの売り上げも伸びると予測している。

AR用眼鏡型ウエアラブルと次期iPhone

 アップルは、こうしてハードウエアの新製品を続々市場投入するようだ。クオ氏の最新レポート(中国語)によると、アップルは来年1〜3月期にタブレット端末「iPad Pro」の新型機を発売する見通し。また、4〜6月期にはノートパソコン「MacBook」の新型機と、拡張現実(AR)用の眼鏡型ウエアラブル端末を発売すると予測している。

 そして、来年7〜9月期の発売を予定する次期iPhoneは、5G通信に対応する。クオ氏の別のレポートによると、5G対応のiPhoneはデザインが大きく変わるようだ。

 前面と背面をガラス素材で覆う点はこれまでと同じだが、側面の金属フレームはより複雑な構造となり、2010年に発売した「iPhone 4」に似た平面形状になるという。

 金属フレームは、5Gアンテナの電波送受信効率を高めるためにもデザインの変更が必要になると同氏は指摘。この新デザインが次期iPhoneのセールスポイントの1つになり、来年後半における販売台数は前年同期比15%増の8500万台になると予測している。

5G対応スマホは2020年以降に急成長

 米調査会社のストラテジー・アナリティクスは5G対応のスマートフォンについて、来年が転換点になるとみている。

 今年の世界スマートフォン販売台数に占める5G対応モデルの比率は1%未満。現在、この分野の上位企業は韓国サムスン電子で、これに韓国LGエレクトロニクスや中国ファーウェイ(華為技術)、中国オッポ(広東欧珀移動通信)、中国ビーボ(維沃移動通信)、中国シャオミ(小米科技)が続いている。

 しかし来年は、アップルをはじめとする主要メーカーの端末が出そろう。それ以降5Gスマートフォンの販売は急速に伸びるという。

 ストラテジー・アナリティクスが予測する来年の5G端末の販売台数比率は約10%。これが2024年には50%近くになり、2025年の世界販売台数は10億台を超えるとしている。

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ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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