全世界に17億人超のユーザーを抱えるソーシャルメディアの巨人、米フェイスブック(FB)は、そのサービスをスマートフォンやパソコンだけにとどまらず、次世代のプラットフォームへと拡大させたい考えのようだ。

ソーシャルとVRの融合

同社は今年4月に開催した開発者会議で、ソーシャルメディアと仮想現実(VR)を融合させた技術を披露していたが、今月初旬に開催した傘下のオキュラスVRの開発者会議では、それをさらに発展させたデモを行った。

それはオキュラスVRの仮想現実ヘッドマウントディスプレイを装着した、離れた場所にいる人たちがアバター姿になって、会社のオフィスや友人の家など同じ空間を共有するというもの。

その中では、現実の世界と同様に自分の声で会話ができ、アバターはそれに合わせて口を動かしたり、顔の表情を変えたり、身ぶり手振りを交えて感情を表現したりすることができる。

デモでは、そうして仮想現実あるいは拡張現実の世界に集まった人たちが、トランプやチェスなどのゲームをしたり、動画を見たり、メッセンジャーアプリを使ってほかの友人とビデオ通話をしたりしていた。

現在のところ、これが現実的にフェイスブックのどのようなサービスになるのかは分からない。果たしてこれが我々の実生活や実社会にどのように役立つのかといったことも分からない。

だがフェイスブックは、仮想現実とソーシャルメディアを組み合わせた新たなコミュニケーションプラットフォームについて真剣に考えているようだ。

ゲーム業界のベテランを採用

たとえば、この話題について触れている米ロードトゥーVRの記事によると、今回のデモにアバターとして登場したフェイスブックの“ソーシャルVR”プロダクトマネジャー、マイケル・ブース氏はインタビューに応じ、こうしたサービスをできるだけ早い時期に大々的に立ち上げたいとの考えを示したという。

ここで興味深いのはフェイスブックには“ソーシャルVR”という事業部門があること。

同社のマイク・シュレーファー最高技術責任者(CTO)は、公式ブログで、このほど同社が米ゲームソフト大手エレクトロニック・アーツ(EA)でバイスプレジデントを務めていたルービン・レイチェル・フランクリン氏をソーシャルVR部門のトップとして雇い入れたと発表した。

同じくこの話題について報じている米テッククランチによるとフランクリン氏は、2014〜2015年にエレクトロニック・アーツで「The Sims 4」の事業に携わっていた。

他社サービスとの差別化が可能に

そしてフランクリン氏は今後、離れた場所にいる人たちが、仮想現実のヘッドマウントディスプレイを使って交流するサービスを、デモンストレーションレベルではなく、いかに現実のものにするかといった仕事に取り組むという。

フェイスブックやその傘下のオキュラスVRと競合する仮想現実分野の企業には、台湾HTC(宏達国際電子)やソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)、米グーグルなどがある。

しかしフェイスブックがもしその専門であるソーシャルメディアをうまく仮想現実に組み合わせることができれば、ゲームや映画などを扱う他社とは差別化したサービスを提供できる可能性があると、テッククランチは伝えている。

JBpress:2016年10月18日号に掲載/原題「FBが描く次世代のソーシャルメディア、人々が仮想現実や拡張現実で交流する世界」)