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北朝鮮「最強の女」がハマる、ヤクザ顔負け「裏ビジネス」の中身

高英起デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
金正恩氏(朝鮮中央通信)

韓国紙・東亜日報の敏腕記者で、脱北者でもあるチュ・ソンハ氏が11月28日付で、北朝鮮の崔善姫(チェ・ソニ)第1外務次官の「裏ビジネス」を暴いている。

金正恩党委員長時代の北朝鮮政治の特徴のひとつが、女性エリートの目覚ましい活躍ぶりである。中でも筆頭格と言えるのが崔善姫氏だ。金正恩氏の妹・金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長の方が権威は上だが、実務の面では間違いなく崔善姫氏がエースだ。

機関銃でズタズタに

そもそも、男尊女卑の激しい北朝鮮において、女性が第1外務次官となり、対米外交の現場指揮を取るなど、故金正日総書記の地代には考えられなかったことだ。

チュ・ソンハ氏によれば、崔善姫氏は中国人投資家と北朝鮮企業との紛争を処理する形で外貨の「裏金」をため込んでいるという。実動部隊になっているとなは、彼女の姪であるチェ・スギョン氏だという。

チェ・スギョン氏は、石炭輸出を担う貿易機関で働いていた。そして、経済制裁により石炭輸出の道が途絶えると、紛争処理ビジネスに転身。中国人投資家から「焦げ付いた資金を回収して欲しい」などの頼みを聞き入れ、叔母の権威に頼って解決し、回収額の30%~50%を報酬として受け取っているという。

日本のヤクザも、債権回収を請け負った場合の報酬は50%だと知り合いのジャーナリストから聞いたことがある。崔善姫氏は文字通り「ヤクザ顔負け」のビジネスに手を染めていることになる。もっとも、自分の権威や権力を利用してカネを儲けるのは、北朝鮮では当たり前の話だ。汚いやり方はいくらでもあり、中国人投資家の悩みを解決している分だけ、崔善姫氏の商売は「キレイ」だと言える。

しかし、われわれ部外者の目にはそう見えても、金正恩氏が知ったらどう思うかはわからない。チュ・ソンハ氏も「金正恩は最近、元山葛麻(ウォンサンカルマ)観光団地の造成に使う金がなく困っているが、最側近はこっそりドル稼ぎに熱中しているのだ」と指摘している。

崔善姫氏の「裏ビジネス」を巡る情報が事実で、それを知った金正恩氏がこの行為を「裏切り」ととらえた場合、彼女は果たしてどのような運命を辿るのだろうか。最高指導者から寵愛を受けていても、状況が変われば機関銃でズタズタにされる危険性すらあるのだ。

(参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。

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