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史上最強テニス選手のフェデラーが、宿敵ナダルを倒して、マイアミで11年ぶり3回目の栄冠&最年長優勝!

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
マイアミで3回目の優勝フェデラー(右)と5回目の準優勝ナダル(写真/神 仁司)
マイアミで3回目の優勝フェデラー(右)と5回目の準優勝ナダル(写真/神 仁司)

2人のライバル関係は、マイアミから始まったのだった――。

ロジャー・フェデラーとラファエル・ナダルが、初めて対決したのはマイアミ大会で、2004年3月28日のナイトセッションで、当時17歳のナダルが、世界ナンバーワンになったばかりで22歳のフェデラーを、6-3、6-3で破ってみせた。

さらに、2005年マイアミ大会では、2人が初めて決勝で対決し、2-6、6-7(4)、7-6(5)、6-3、6-1、フェデラーが2セットダウンからの大逆転勝ちで、マイアミ初優勝を遂げたのだった。

それから12年後のマイアミで、35歳のフェデラーと30歳のナダルが、再び対峙した。マイアミ大会の決勝で、30歳以上の選手同士の対戦は初めてのことだ。

37回目の対決で、対戦成績はナダルの23勝13敗だが、最近はフェデラーの3連勝中で、特に今年1月のテニス4大メジャーのグランドスラム初戦・オーストラリアンオープン決勝で、5セットの激戦の末、フェデラーがグランドスラム18勝目を挙げたのは、記憶に新しいところだ。

今回のマイアミオープン(3月22~4月2日)で、フェデラーは4回目、ナダルは5回目の決勝進出となった。

第4シードのフェデラー(ATPランキング6位、大会時、以下同、スイス)が、第1セット第8ゲーム、第2セット第9ゲームを共にブレークして6-3、6-4、ストレート勝ちを収めたが、両者共に口をそろえたのは、クロスマッチであったということだ。

第5シードのナダル(7位、スペイン)は、第1セット第1ゲームに2回、第5ゲームに1回、第7ゲームに1回、ブレークポイントを握るもののいずれも取ることができなかった。

フェデラーは、早いタイミングでフォアもバックもストロークを打ち、ネットプレーも交ぜる攻撃的なプレーに徹したが、ナダルは、終始フェデラーの早い展開にプレッシャーを受けて大事なポイントを取りきることができなかった。また、フェデラーはサーブも好調で、ファーストサーブのポイント獲得率は87%だった。

ナダルは、マイアミで5回目の準優勝となり初タイトルはまたもやお預けとなった。

「ロジャーは、大きな自信を持っていいプレーをした。ロジャーのようなトッププレーヤーにそういう状態でプレーされると勝つのは困難なことだ」

フェデラーは、マイアミで2006年以来11年ぶりに3回目の優勝を成し遂げた。35歳での優勝はもちろん最年長となる。今季3勝目で、ツアー通算91勝目(史上3位)。マスターズレベルの優勝は通算26回(史上3位)となった。

「とても嬉しい。スペシャルマッチだった。ラファと再びプレーして素晴らしかった」

マイアミオープンは、マスターズ1000という、グランドスラムに次ぐグレードの大会だが、フェデラーは、3月にインディアンウェルズとマイアミで、35歳ながらマスターズ連続優勝をするという離れ業を成し遂げた、フェデラーは、2005年と2006年にもダブル優勝をしたことはあるが、この時は彼が世界ナンバーワンの時代だったので、インパクトでいうと今回のダブル優勝の方が大きい。

振り返れば、フェデラーが断裂した半月板を修復するために、内視鏡によるひざの手術を実施したのは、昨年2月3日だった。

いったん復帰を果たすものの、6月のウインブルドン準決勝で、グラス(天然芝)コートで足を滑らせ、再び左ひざを痛めた。それ以降の2016年シーズンはひざのリハビリにあてることに決め戦列から離れたのだった。

そして、公式戦の復帰初戦となった2017年オーストラリアンオープンで復活優勝をしてファンを大いに驚かせた。

「今年3大会で優勝できて信じられないスタートがきれて信じられない」と語るフェデラーは、今季、オーストラリアンオープン、インディアンウェルズ、マイアミ、ビッグタイトルを総なめにしている。ただ、フェデラーは、昨年の苦い経験から健康だからこそできることなのだと強調する。

マイアミでの優勝によってフェデラーはATPランキングを4位に上げるが、心身共に休養が必要だとし、グランドスラムの第2戦・ローランギャロス(5月28日パリで開幕)の2週間前に戦列へ戻る予定だ。

ただ、「たぶんウインブルドンが最も大きなゴール」とフェデラーが語るように、上半期の最大のターゲットは、7月3日からロンドンで開幕するウインブルドンだろう。

「ここマイアミで、カムバックと言うのは終わりにしよう」と宣言するフェデラーには、もはや復活優勝という表現は適切ではない。テニスをリラックスしながら心底楽しんでいるフェデラーを倒すのが、もはや容易なことではないことは、誰の目にも明らかだからだ。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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