Yahoo!ニュース

“マイアミの奇跡” 錦織圭、5回のマッチポイントから生還して、2年ぶりのベスト4へ!!

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
逆転勝ちで、マイアミでは2年ぶり2回目のベスト4を決めた錦織(写真/神 仁司)
逆転勝ちで、マイアミでは2年ぶり2回目のベスト4を決めた錦織(写真/神 仁司)

「気持ち的には、ほぼ終わったと思いましたね」

5回のマッチポイントから生還した錦織圭は、こう試合を振り返った。

錦織(ATPランキング6位、3月21日付け、以下同)が、マイアミオープン準々決勝で、第16シードのガエル・モンフィス(16位、フランス)を、4-6、6-3、7-6(3)で破り、2年ぶり2回目の準決勝へ進出した。マスターズ1000大会では、7回目のベスト4となる。

マイアミらしい強い太陽の照りつけと蒸し暑さによって、両選手の消耗は激しかった。

そんな状況下で、モンフィスのボールの読みの良さとダイナミックな動きによって、錦織はなかなかポイントを奪うことができなかった。

ファイナルセットに入って、第3ゲームで錦織が先にブレークに成功したが、第8ゲームでブレークバック。錦織の4-5で迎えた第10ゲームでは、0-40になって、モンフィスがマッチポイントを4回握り、さらに、第12ゲームにも1回マッチポイントを握られ絶体絶命だったが、錦織は切り抜けてみせた。

「あの(第10)ゲームでは、風下だったので、少し焦っていたのもありますし、早く決めにいってしまって、0-40になってしまった。なるべくファースト(サーブ)を入れるようにして、焦って(ポイントを)落としていたので、もうちょっとスピン(サーブ)を交ぜた。その他のマッチポントも、半分あきらめもあったので、なるべく思い切って打っていくようにしていました」

ファイナルセットのタイブレークでは、モンフィスのレベルがダウンしたのを、錦織が見て取り、冷静にプレーして、2時間29分の激闘を制した。

ウィナーは、錦織が24本で、モンフィスが29本。ミスは、錦織が40本で、モンフィス45本。錦織にしては、ミスが多かったうえに、ダブルフォールト6回、ファーストサーブの確率55%で、サーブの出来ももう一つだった。だが、「攻められたけど、(モンフィスに)ミスもあった」と錦織が振り返ったように、モンフィスのミスにも助けられた。

ちなみに、錦織は、2年前のマイアミ大会4回戦でも、ダビド・フェレールに対して、4回のマッチポイントを跳ね返して勝利したが、あらためて、逆境を跳ね返す錦織のメンタルの強さには目を見張るものがあった。

準決勝では、第24シードのニック・キリオス(16位、フランス)と対戦する。対戦成績は、錦織の1勝0敗。キリオスは、マイアミ大会初出場で準決勝に進出し、同時にマスターズ1000大会でも初のベスト4で、勢いに乗っている20歳だ。 

キリオスの高速サーブと錦織得意のリターンの対決になるが、錦織は「いいリターンをしなければいけない。リターンがキーになる」と警戒する。

2年前のマイアミ大会準決勝では、錦織は、左股関節の炎症で、1ゲームも戦わずに棄権負けをした苦い経験がある。「少し疲れた」と語る錦織のフィジカルがどのぐらい回復して、準決勝に臨めるか気になるところだが、マスターズ1000大会初制覇をするためには、乗り越えなければいけない道のりだ。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

神仁司の最近の記事