オールスター投票から見るファンと選手間の評価の違い。大谷翔平はファン、選手の両方から支持される。
MLBオールスターゲームに出場する控え野手と投手が現地7月4日に発表され、すでに発表済みだった先発メンバーと合わせて、オールスターゲームのロースターが出揃った(先発投手が登板間隔の関係などで出場辞退をした場合の代替選手は今後、選ばれる可能性あり)。
ファン投票で選ばれた先発メンバーと、選手間投票で選ばれた控え選手の投票結果を見ると、ファンと選手の間での選手評価の差が見えてくる。
選手名(チーム)ファン投票率/選手間投票数。
ファン投票は1次ラウンド上位3選手による2次ラウンド最終結果の投票率。選手間投票は上位2選手のみ発表。
(フ)ファン投票1位=先発出場、(選)選手間投票1位、(繰)選手間投票2位で繰り上がり出場、(事)コミッショナー事務局選出、(欠)ケガなどで欠場
捕手
アメリカン・リーグ
(フ、選)サルバドール・ペレス(ロイヤルズ)62%/616
マーティン・マルドナード(アストロズ)20%/ー
ヤスマニ・グランダル(ホワイトソックス)18%/ー
(繰)マイク・ズニーノ(レイズ)ー/107
ナショナル・リーグ
(フ、選)バスター・ポージー(ジャイアンツ)58%/441
ヤディアー・モリーナ(カージナルス)25%/ー
ウィルソン・コントレラス(カブス)18%/ー
(繰)JT・リアルミュート(フィリーズ)ー/154
ファン、選手ともにア・リーグはペレス、ナ・リーグはポージーが1位となったが、両リーグとも2位の選手に関して、ファンと選手で大きく意見が分かれた。
選手間投票で2位となったズニーノは、ファン投票では1次ラウンドで8位とファンの支持を得られなかったが、選手間投票ではペレスに次ぐ2位でオールスターに選ばれた。ナ・リーグのリアルミュートも1次ラウンド6位ながら、選手間投票では2位と実力を正確に評価された。
一塁手
アメリカン・リーグ
(フ、選)ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)75%/631
ユリ・グリエル(アストロズ)15%/ー
ホゼ・アブレイユ(ホワイトソックス)10%/ー
(繰)マット・オルソン(アスレチックス)ー/212
(事)ジャレッド・ウォルシュ(エンゼルス)ー/ー
ナショナル・リーグ
(フ、選)フレディ・フリーマン(ブレーブス)48%/272
(繰)マックス・マンシー(ドジャース)34%/258
アンソニー・リゾー(カブス)18%/ー
ア・リーグはゲレーロJr.がファン投票でも選手間投票でも圧勝。選手間投票で2位だったオルソンは、ファン投票は1次ラウンド5位。
ナ・リーグは昨季のMVP、フリーマンとユーティリティ選手のマンシーがファン投票、選手間投票ともに激しい争いを繰り広げたが、どちらもフリーマンに軍配が上がった。
ニ塁手
アメリカン・リーグ
(フ、選)マーカス・セミエン(ブルージェイズ)54%/510
(繰)ホゼ・アルトゥーベ(アストロズ)32%/358
DJ・レメイヒュー(ヤンキース)14%/ー
ナショナル・リーグ
(フ、選)アダム・フレイジャー(パイレーツ)47%/278
(事)オジー・オルビーズ(ブレーブス)33%/ー
ギャビン・ラックス(ドジャース)20%/ー
(繰)ジェイク・クロネンワース(パドレス)ー/272
ア・リーグはファン投票と選手間投票の両方で1位がセミエン、2位がアルトゥーベで一致。ナ・リーグはファン投票で1次ラウンド5位だったクロネンワースが、選手間投票では1位のフレイジャーに僅か6票差の僅差で2位となり初の球宴出場を決めた。
三塁手
アメリカン・リーグ
(フ、選)ラファエル・デバース(レッドソックス)61%/514
アレックス・ブレグマン(アストロズ)22%/ー
ヨアン・モンカダ(ホワイトソックス)16%/ー
(繰)ホゼ・ラミレス(インディアンス)ー/344
ナショナル・リーグ
(フ)ノーラン・アレナード(カージナルス)40%/318
ジャスティン・ターナー(ドジャース)34%/ー
(選)クリス・ブライアント(カブス)26%/322
ファンと選手で1位選手が異なったのがナ・リーグの三塁手部門。ファンは昨季までコロラドでプレーしていたアレナードを選んだが、選手はファン投票で3位だったブライアントを僅差で選んだ。
ア・リーグはデバースが両部門で1位となったが、選手間投票で2位となったのはファン投票で1次ラウンド4位だったラミレスだった。
遊撃手
アメリカン・リーグ
(フ、選)ザンダー・ボガーツ(レッドソックス)42%/540
(事)ボー・ビシェット(ブルージェイズ)37%/ー
(繰)カルロス・コレア(アストロズ)21%/174
ナショナル・リーグ
(フ、選)フェルナンド・タティスJr.(パドレス)64%/514
ハビアー・バイエズ(カブス)19%/ー
(事)ブランドン・クロフォード(ジャイアンツ)17%/ー
(繰)トレイ・ターナー(ナショナルズ)ー/222
(事)エドゥアルド・エスコバー(ダイヤモンドバックス)ー/ー
ア・リーグのファン投票で1位のボガーツと熾烈な争いをしたビシェットは選手間投票での2位をコレアに奪われたが、コミッショナー事務局選出でオールスター出場の座を掴んだ。
4人の遊撃手が選ばれたナ・リーグではファン投票2位のバイエズが落選。選手間投票で選ばれたターナーはファン投票1次ラウンド5位。エスコバーはファン投票1次ラウンドで上位10位にも入れなかったが、ダイヤモンドバックスの選手から一人選ばないといけなかったので事務局から選出された。
外野手
アメリカン・リーグ
(フ、欠)マイク・トラウト(エンゼルス)19%/301
(フ)アーロン・ジャッジ(ヤンキース)13%/377
(フ)テオスカー・ヘルナンデス(ブルージェイズ)12%/ー
バイロン・バクストン(ツインズ)12%/ー
(選)マイケル・ブラントリー(アストロズ)10%/445
(選)セドリック・マリンズ(オリオールズ)10%/460
ランドール・グリチック(ブルージェイズ)8%/ー
(選)アドリス・ガルシア(レンジャーズ)8%/385
アレックス・ベルドゥーゴ(レッドソックス)8%/ー
(事)ジョーイ・ギャロ(レンジャーズ)ー/ー
ナショナル・リーグ
(フ、選)ロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)21%/641
(フ、選)ニック・カステヤーノス(レッズ)18%/522
(フ、選)ジェシー・ウィンカー(レッズ)16%/457
(繰)ムーキー・ベッツ(ドジャース)13%/240
(事)クリス・テイラー(ドジャース)7%/ー
ジョク・ピーダーソン(カブス)7%/ー
マイク・ヤストレムスキー(ジャイアンツ)6%/ー
ブライス・ハーパー(フィリーズ)6%/ー
(事)フアン・ソト(ナショナルズ)6%/ー
(繰、欠)カイル・シュワーバー(ナショナルズ)ー/189
(繰)ブライアン・レイノルズ(パイレーツ)ー/163
外野手部門はファン投票上位3選手が選出される。ナ・リーグでは選手間投票での1位から4位までが、ファン投票結果と全く同じだった。選手間投票で5位に入り繰り上がり当選したシュワーバーは、記録的なペースで本塁打を放ったタイミングがファン投票開始後だったこともあり、ファン投票では1次ラウンドで上位20位にも入らなかった。選手間投票で6位だったレイノルズもシュワーバーと似たケースで、6月に成績を大幅に向上させたので、ファン投票では20位以内に入っていない。
ア・リーグではファン投票1位だったトラウトだが、投票期間中はケガで欠場していたために、選手間投票では票が伸びず。選手間投票1位のマリンズはファン投票1次ラウンドで7位、選手間投票2位のブラントリーはファン投票1次ラウンド4位、選手間投票3位のガルシアはファン投票1次ラウンド5位だった。
指名打者
アメリカン・リーグ
(フ、選)大谷翔平(エンゼルス)63%/501
(繰)J.D.・マルティネス(レッドソックス)20%/205
ヨーダン・アルバレス(アストロズ)17%/ー
(事)ネルソン・クルーズ(ツインズ)ー/ー
大谷翔平はファン投票、選手間投票の両部門で1位となり、堂々のオールスター初選出。マルティネスもどちらの部門でも2位で、ファンと選手の意見が一致した。
ファンと選手では1位は同じだが、2位は意見が異なる
ア・リーグの9ポジション、ナ・リーグの8ポジションの合計17ポジションの結果を見ると、1位と2位が一致したのはナ・リーグの一塁手と外野手、ア・リーグの二塁手と指名打者の4ポジションだけ。
1位が一致は17ポジション中13ポジション。ア・リーグの外野3ポジション以外で、ファンと選手の1位が異なったナ・リーグの三塁手も4票の僅差だった。ファン投票には人気投票の側面もあるが、ファンたちは名前だけで投票するのではなく、今季の成績も加味して投票していることがうかがえる。
投票時点で最も活躍している選手を選ぶファンが多かったので、1位は選手間投票と同じ結果になったが、2位の選手には大きな違いが見られた。2位の選手が異なったのは、17ポジション中13ポジションもあった。ファン投票で上位3位までに入れずに2次ラウンドに進めなかった選手が、選手間投票では2位に入ったケースが8つもあったように、ファン投票では2位以降は人気選手に票が集まる傾向が高かったが、選手間投票は2位以降も活躍度を重要視していた。
この結果を見てから、改めて自分なりのオールスターを考えてみるのも面白そうだ。