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NFL公式サイトが大谷翔平の特集記事を掲載。米プロスポーツ界の常識を変える可能性を秘めた大谷の活躍

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
NFL公式サイトに掲載された大谷翔平の特集記事(NFL.comより)

 NFLやNBAのスーパースターたちからも、桁外れな二刀流選手としての能力を称賛されている大谷翔平。

 大谷の活躍は野球界の枠を超えて、全米のスポーツ界全体から注目を集めている。5月25日(日本時間26日)には、NFL公式サイトが大谷の特集記事を組んだ。

 『二刀流の天才野球選手、大谷翔平に匹敵するNFL選手は誰だ?』と題する記事が掲載されたが、NFL公式サイトでNFL選手でない他のスポーツのアスリートが大きな写真付きで特集されるのは異例なこと。それほどまでに大谷の注目度はアメリカ全土で高まっている。

 「今月(5月)はスポーツ界にとってすごい月だった」との書き出しで始まるこの記事は、ゴルフ界では50歳のフィル・ミケルソンがメジャー大会最年長優勝記録を塗り替え、バスケットボール界では古豪のニューヨーク・ニックスが久し振りとなるプレイオフへ出場、オフシーズン中のNFLではリーグを代表するスター選手の一人であるフリオ・ジョーンズ(アトランタ・ファルコンズ)のトレード騒動など、スポーツ界を賑わす話題が盛りだくさんだと紹介している。

 「それらのニュースも野球界で大谷翔平が成し遂げていることほどには歴史的価値があるとは思えない」と大谷の活躍がスポーツ界の枠を超えた偉業だと讃えている。

 「MLBシーズンの最初の4分の1を、打者として……そして投手として支配してきた。5月25日時点で、リーグトップに1本差の14本塁打を放ち、投げては防御率2.37を記録。長打数はリーグ1位で、9イニングあたりの平均奪三振数は13.35。大谷は二刀流のスターとして活躍しているが、真の意味での比較対象はベーブ・ルースにまで遡らなければならない」

 記事はエース投手と中軸打者として二刀流の活躍をする大谷をアメリカンフットボール選手として考えた場合、どんな存在なのだろうか?という考察に続く。

 野球のエース投手は、アメフトではフランチャイズ・クオーターバック(QB)のような存在。どちらも一人の力で試合の勝敗に大きな影響を与え、高額年俸を手にする。

 長打を量産する中軸打者は、相手レシーバーを完全に封じ込めるコーナーバック(CB)のような存在。投手がスラッガーに対して投球するのを嫌がるように、QBもエリート・コーナーバックの近くにボールを投げることを避ける。

 攻撃陣と守備陣が完全に分けられている専業制のNFLでは、攻守両面で出場する二刀流選手はほぼ皆無で、攻守で大活躍する大谷のような選手は存在しない。

 だが、高校レベルだと攻守両面で活躍するスター選手は少なくない。エースQBはケガのリスクを考慮して、守備をさせない傾向が強いが、高校のスターQBの中にはCBとしても活躍できるだけの才能を持った選手もいる。

 野球界でも高校レベルまではエースで4番を務める選手は多いのに、プロ野球でエースで4番は大谷が出現するまで夢物語だと思われていた。

 大谷の出現によって、メジャーリーグでも二刀流に挑戦する選手が増え始め、野球界の常識がぶち壊された。

 野球界で二刀流として活躍する大谷の姿に刺激を受けて、将来的にはNFLでQBとCBの二刀流にチャレンジするアメフト少年が出てくるかもしれない。

 大谷の二刀流での活躍はスポーツ界の壁を超えて、アメリカのプロスポーツ界の常識を覆す可能性を秘めている。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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