マリナーズ・菊池雄星がオフに取り組んだ3つの課題
シアトル・マリナーズの菊池雄星が、3月2日(日本時間3日)に行われたクリーブランド・インディアンズとのオープン戦で今春初登板。2回を投げて、1安打1失点、3奪三振、1四球の内容に、「すごく楽しかった」と上々のスタートを切った。
昨春のオープン戦以来、約1年ぶりに観客の前で投げた菊池は、「まだいろいろと制限がありますけれど、お客さんの前でプレーするというのは幸せなことだと改めて感じましたし、すごく楽しかったです」と充足感を持って投げられようだ。
1失点で負け投手となったが、「充実した初戦だった。オフシーズンに取り組んできたことを表現できた部分が多かったので、まずはいいスタートが切れた」と自らの投球内容に合格点を与えた。
オフシーズンに取り組んだのは、『新しいフォーム』、『変化球の精度』、『試合中の修正』の3点。
精度を高める新フォーム
今年の菊池は上げた右足を身体の前で一度止めてから投げている。その意図を菊池はこう説明する。
「バランスを意識して、シンプルに反動を使わないで投げるということをオフにやってきた。バッターのタイミングを外すというよりは、自分自身のコントロールとか精度を高めるためにやってます」
反動を使わずに投げるようにしているが、この日の直球の最速は96マイル(約155キロ)で球威は失っていない。
四球を1つ与えたが、「0-2からフォアボールを出したけど、やりたいことがしっかりできた中でのフォアボールだったので、そこは別に気にはしていない」と納得した上での四球だった。
変化球で奪った3つの三振
『変化球の精度』に関しては、「スライダーで三振を取れたこと」を良かった点として挙げた。
「スライダーの大切さというか、スライダーがすごく大事なボールになるというのはコーチやキャッチャーから(言われて)、僕自身も分かっているので、オフシーズンすごく重点的に取り組んでやってきたボール」
三振はスライダーが2つで、スプリットが1つと、奪った3つの三振すべてが変化球で取ったものだった。
スプリットは、去年まではチェンジアップと呼んでいた球だが、「スプリットで三振を取れたっていうのは、オフシーズンにやってきたことが形になった」と手応えを感じた。
「(球の握りは)基本は一緒。ただ、意識の中で、チェンジアップっていうよりも、スプリットといった方が、変に抜く意識がなくなる。チェンジアップは抜くっていう感じですけど、スプリットは引っ掛けるというか、まっすぐに近いイメージなので、自分の感覚でしかないんですけど、その方がいいんじゃないかなと思って」
成長を感じさせる『試合中の修正』
そして3番目の『試合中の修正』は、「(先制点を与えた)初回は、初戦ということでバランス悪いなぁと思いながら投げてたんですけど、イニング間でしっかりと修正ができて、それもオフシーズンに取り組んできたことのポイントだったので、その点でも良かった」と過去2シーズンは苦しんだ試合の中でのアジャストメントをうまくできるようになった。
オフに取り組んだ課題がうまくいった菊池は、「あとは一つ一つ精度を上げていけば間違いなく数字はついてくると僕は思って、それを信じてやっていきたいなと思っています」と真価を問われる3年目の飛躍を誓った。