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昨季の王者ラプターズがトロントからタンパベイ移転?!加米間の入国制限で、NHLはどうする?

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
NBA唯一カナダに本拠地を置くトロント・ラプターズはタンパベイを暫定本拠地にする

Text & Photos by KIYOSHI MIO/All-American Sports

 昨季のNBA王者、トロント・ラプターズが、今季はフロリダ州タンパベイに本拠地を仮移転すると11月20日(日本時間21日)に発表した。

 NBAの30チームの中で、唯一カナダを拠点とするラプターズ。アメリカでは新型コロナウイルスの感染者が増え続けており、カナダは依然としてアメリカとの国境を封鎖中。不要不急な往来は禁じており、アメリカから入国した場合には14日間の隔離期間を義務付けている。

 NBAは今季の開幕を12月22日(日本時間23日)に設定。12月1日(日本時間2日)からトレーニング・キャンプが始まる。

 カナダ政府は11月20日(日本時間21日)にアメリカとの国境閉鎖を12月21日まで延長すると発表。春まで国境の閉鎖は解かれないのではと言う専門家も多い。

 ラプターズとNBAはカナダ政府との話し合いを続けてきたが、特例措置が認められず、アメリカからの入国が認められるまでは、ラプターズはアメリカ国内に仮の拠点を移すことになる。

 テネシー州ナッシュビルやミズーリー州カンザスなどいくつかの候補地の中からラプターズが選んだのはタンパベイ。今季のNHL王者、タンパベイ・ライトニングスの本拠地、アマリー・アリーナ。20,500席を持つ立派なアリーナだ。

 これまではアメリカの北に位置することから「We The North」をチームスローガンにしていたラプターズが、アメリカの中でも南側に位置するタンパベイに仮住まいを置く。

 ライトニングスのチーム・キャプテンを務めるスティーブン・スタムコスは「We The SOUTH」とツイートして、ラプターズを歓迎している。

 メジャーリーグではラプターズ同様にトロントをフランチャイズとするブルージェイズが、今季は本拠地を傘下の3Aチームがあるニューヨーク州バッファローに移して戦った。

 NBAとMLBはカナダを本拠地とするチームが1つだけなので、比較的スムーズな対応ができたが、31チーム中7チームがカナダにあるNHLは開幕に向けて大きな問題を抱えている。

 今季は10月2日に開幕したNHLだが、今の時点でまだ来季の開幕日は決まっていない。NHLは当初の目標であった12月1日開幕を諦め、1月1日開幕に向けて動いている。

 カナダの7チーム全てをアメリカ国内に移転させることは現実的ではなく、アメリカの24チームをカナダに移すのはもっと難しい。となると、カナダの7チームを1つのディビジョン(地区)、アメリカの24チームは8チームずつの3地区に分けて、同地区のチーム同士だけで試合をする形になりそうだ。

 メジャーリーグも今季は特例として、同地区チーム同士の試合だけに限定。地区が同じであれば、インターリーグの試合も行った。

 来季のNHLは4つの地区同士で短縮レギュラーシーズンを戦い、プレイオフまでにはカナダとアメリカの国境が開かれることを望んでいる。

 カナダ政府は「プロスポーツのために、カナダ国民の健康を犠牲にはしない」と毅然な態度を示しており、カナダで最も人気があるNHLでも特例は認めない方針だ。

 パンデミックが収束しない限り、これまでのようにアメリカとカナダの国境をまたいで試合をすることはできない。

 来季の開幕予定日は1ヶ月先に迫っており、NHLは来季の運営方法を早急に決断しなければならない。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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