元神戸のポドルスキがサッカーとアイスホッケーの二刀流に挑戦?競技人口は日本と同等のドイツの実力は?

アイスホッケーに挑戦することが明らかになったルーカス・ポドルスキ(写真:ロイター/アフロ)

 Jリーグのヴィッセル神戸で2017年から19年までプレーした元ドイツ代表の名プレーヤー、ルーカス・ポドルスキが、ドイツのアイスホッケー・チームと契約して、サッカーとアイスホッケーの二刀流に挑戦することを明らかにした。

 今年1月に神戸との契約を完了後、トルコリーグのアンタルヤスポルに加入したポドルスキ。35歳の今季も現役としてプレーを続けるが、幼少の頃にプレーをしていたアイスホッケーにも挑戦する。

 地元ケルンにあるアイスホッケー・チーム、「ケルナー・ハイエ」がコロナ禍による財政難に直面。このピンチに立ち上がったポドルスキが、「バーチャルチケットが10万枚売れたら、ハイエと契約する」と公約。地元ファンを中心にチケットが10万枚以上売れ、「援助してくれた全ての方、企業に感謝する。コロナがもう少し落ち着いたら、チームと話し合う。どんな形になるにしろ、ハイエの選手になることを楽しみにしている」とアイスホッケー挑戦を明らかにした。

 子供の頃にサッカーだけでなくアイスホッケーもプレーしていたポドルスキは、2019年にハイエが屋外で開催した特別試合で、アイスホッケー版始球式の「パック・ドロップ・セレモニー」に登場して試合を盛り上げたことがある。

 ハイエはドイツ語でサメの意味で、ケルナー・ハイエは英語に直すとケルン・シャークス。ドイツのプロ・アイスホッケー・リーグ、「ドイチェ・アイスホッキ・リーガ」で最大の収容人数1万8500人のホームアリーナを持つ人気チーム。入場料がチーム収入の8割近くを占めるので、新型コロナウイルスによって無観客になったことで破産の危機に瀕していた。

 ポドルスキといえば背番号10番が代名詞だが、ハイエではNHLでのプレー経験がある日系カナダ人選手のジョン・マツモトが着用中。

 ポドルスキ加入のニュースを聞いたマツモトは、「ポドルスキはドイツのロナウドでありメッシのような存在。彼がハイエでプレーすれば、ドイツ王者になるのは100%保証されたも同然だ」とサッカー界のレジェンドを歓迎するツイートをして、背番号10番も喜んで譲ると約束した。

ドイツでのホッケーの立ち位置

 サッカーでは1954年、74年、90年、そしてポドルスキも出場した2014年の4回もワールドカップで優勝している強豪国のドイツ。

 サッカー連盟への登録選手数は600万人を超えるが、アイスホッケー連盟への登録選手は約2万人。世界のアイスホッケー人口を見てみると1位がカナダの60万人超えで、2位はアメリカの50万人超えと北米2国が突出しており、3位のチェコは約12万人とアメリカの25%にも満たない。ドイツの登録人数は世界9位で、10位の日本とあまり大差はない。

 ドイツ国内でもアイスホッケーはマイナースポーツだが、2019年度の男子世界ランキングは7位。日本は23位なので、大きく離されてしまった。

 冬季オリンピックでは、2018年平昌五輪でカナダを破る大番狂わせを起こして銀メダルを獲得している。平昌五輪にはNHL選手は出場していないが、それでも選手層の厚いカナダに勝利したのは大金星だった。

 ちなみに世界最高峰のプロ・アイスホッケー・リーグと言われるNHLでプレーしているドイツ生まれの選手は昨季で8人もいて、通算でも33人もいる。日本生まれの選手は2人(現H.C.栃木日光アイスバックスの福藤豊と、東京生まれで1歳のときに母国カナダに戻ったライアン・オマラ)しかいない。ここでもドイツに大きく離されている。

 ドイツではマイナーな存在のアイスホッケーだが、国民的英雄のポドルスキが参戦すれば、間違いなく注目度は上がり、新たなファンを獲得できる。

 サッカー界のトップ選手がアイスホッケーに挑戦するのはポドルスキが初めてではない。

 昨季は元チェコ代表のゴールキーパーで、チェルシーを4度のプレミアリーグ優勝に導き、自身もプレミアリーグ最優秀ゴールキーパーに4度選ばれたペトル・チェフが、イギリス4部リーグのアイスホッケー・チーム、「ギルフォード・フェニックス」でプレー。デビュー戦で、延長でのシュートアウト(サッカーで言うPK)で2本のシュートを止めて、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。