鷹の新助っ人投手、ムーアは第2のペニーか?!

ソフトバンク・ホークスに加入するマット・ムーア(三尾圭撮影)

 日本シリーズ4連覇を目指すソフトバンク・ホークスがメジャーリーグ通算54勝の大型左腕、マット・ムーアを獲得に動いている。

 2011年に22歳でメジャー・デビューを果たしたムーアは、翌12年にはタンパベイ・レイズのローテーションに入って31試合に先発登板して11勝。13年にはアメリカンリーグ3位となる17勝を上げて、オールスターにも選ばれた。

 メジャーリーグから日本のプロ野球にやって来る大物助っ人外国人選手は圧倒的に打者が多く、投手でメジャーのオールスター経験者は少ない。

 ホークスは2012年にメジャーの最多勝経験投手で、オールスターに2度選ばれた(1回は先発)実績を持つブラッド・ペニーと契約したが、それ以来の大物メジャー投手となる。

 ペニーもムーアも身長は190センチを超える大型投手で、2人ともに日本へ来る前のシーズンはデトロイト・タイガースでプレーしていた。

 だが、メジャー通算121勝のペニーとは異なり、ムーアがメジャーで輝いたのは実質1シーズンのみで、メジャーではスター選手だったとは言い難い。

 マイナー時代のムーアは本物の注目株で、MLB公式サイトが選ぶマイナーリーグ最優秀投手に輝いた2011年には、マイク・トラウト、ブライス・ハーパーに次ぐ、全米3番目のプロスペクトにランクイン。(ちなみに4位はロサンゼルス・エンゼルスに数日前に加入したフリオ・テヘラン)

 その年の9月にメジャーへ昇格すると、公式戦では僅か1試合しか先発経験がないのにプレーオフ初戦の先発に大抜擢を受け、7回を2安打無失点に抑える新人離れした好投を披露。

 13年に17勝4敗の成績を残したときには、メジャーでもトラウトやハーパーに劣らぬ活躍をするかと期待されたが、14年にトミー・ジョン手術を受けた後は同じレベルに戻れずに苦しんでいる。

 手術前は29勝17敗、防御率3.53、奪三振率8.8だったのに、手術後は25勝39敗、防御率5.13、奪三振率7.7と手術の影響は成績に明確に現れている。

 11年には平均球速96.2マイル(154キロ)を計測していたフォーシームは、手術後の15年は92.7マイル(148キロ)、昨季は92.9マイル(149キロ)まで落ちてしまった。

 ペニーは日本球界に馴染めず、1試合に登板しただけで5月上旬には退団してアメリカに戻ったが、ムーアにはその心配はなさそうだ。

 実はムーアは小学生のときに日本で生活した経験があり、日本へのアジャストはスムーズに行きそうだ。

 ムーアの父親は米国空軍に勤務しており、7歳からの4年間は沖縄の嘉手納基地で暮らしていた。

 トミー・ジョン手術でスピードは失ったが、代わりに制球力は手に入れた。

 手術前は155キロ前後の高速シンカーも投げていたが、最近はフォーシーム、カッター、チェンジアップ、カーブの4種類の球種を投げ分ける。

 FAだが、アメリカではメジャー契約を得るのは難しそうで、マイナー契約を結んだ上で春のメジャーキャンプには招待選手として呼ばれる感じなので、日本行きはムーアにとって悪い選択肢ではない。

 30歳のムーアはかつての輝きを取り戻したいと願いながら、人生2度目となる日本に向かう。