世界一の座をかけて今晩決勝戦のプレミア12。アメリカでの報道は?

空席が目立つプレミア12の日本対オーストラリア戦(写真:日刊スポーツ/アフロ)

 11月2日から始まった第2回プレミア12は、今夜東京ドームで行われる決勝戦で、日本と韓国が「世界一」の称号をかけて行われる。

 昨晩の日本対韓国は「消化試合」と言われながらも44,224人の観客を東京ドームに集めたが、4万人以上の動員は今大会初のこと。昨日まで日本で開催されたスーパーラウンド12試合(マリン・スタジアムで3試合、東京ドームで9試合)の平均入場者数はわずかに12,762人。これは今季のプロ野球で12球団中最下位だった千葉ロッテの平均入場者数(23,463人)の約半分でしかない。

プレミア12・スーパーラウンドの入場者数(三尾圭作成)
プレミア12・スーパーラウンドの入場者数(三尾圭作成)

 

 日本戦に限れば平均入場者数は30,412人となるが、これでも今季のプロ野球平均入場者数(30,929人)に満たない。

 日本戦はテレビでも中継されているが、オーストラリア戦(テレビ朝日系列)は平均視聴率が12.0%(瞬間最高視聴率は17.0%)、メキシコ戦は14.1%(20.8%)とそこそこの数字は取っている。プレミア12は球場まで足を運ぶほどの興味はないが、テレビで放送されていれば観る程度の中途半端なコンテンツなのだろう。

 日本シリーズ、ワールドシリーズ、WBCの全てでの優勝経験を持つ上原浩治氏が、日刊スポーツのインタビューで

正直、バリバリのメジャーリーガーが出ていない。最初のころはWBCもメジャーの選手はほとんど知らなかった。今ではWBCは認知されて、メジャーリーガーも出るようになったけど、プレミア12で国の威信をかけて戦っているってのは、日本と韓国ぐらいじゃないのかなぁ

出典:日刊スポーツ

と語っているように、「世界一」を決める戦いなのにメジャーリーガーが出ていないことが中途半端感に繋がっている。本気で戦っている日本と韓国が決勝戦まで勝ち上がってきたのも偶然ではなく必然の結果だ。

 アメリカのロースターはマイナーリーガーを中心に組まれており、アメリカの平均レベルの野球ファンが名前を知っている選手はゼロ。エンジェルスの将来を担う逸材と期待されるジョー・アデルなど有望な若手選手は数人いるが、アメリカ国内では試合のテレビ中継はなく、フェイスブックで試合が放映されている。

 テレビのスポーツニュースや新聞などでも扱いは全くなく、大会が行われていることも、大会の存在自体も知られていないのが現状。

 アメリカ国内で最も人気の高いNFL(プロフットボール)はシーズン佳境に入ったところだし、大学フットボールも盛り上がっている。NBA(バスケットボール)とNHL(アイスホッケー)もシーズン中で、スポーツニュースや新聞のスポーツ欄は毎日これらの話題でいっぱい。遠い異国でマイナーリーガーたちがプレーしているプレミア12が付け入る隙はない。

 4大スポーツで唯一シーズンオフの野球だが、野球ファンはストーブリーグで選手の移籍情報を追いかけており、プレミア12の情報まで追っかけている熱心な野球オタクは少ない。

 AP通信が試合の記事を配信しているが、ほとんどの新聞社は電子版でもAP通信の記事を掲載しないほどに関心が薄い。

 数少ない例外はNBCスポーツの電子版。オリンピック中継に力を入れるNBCは、プレミア12を「世界一を決める大会」としてではなく、「東京五輪出場予選会」として報道。カテゴリも「MLB」ではなく、「オリンピック」の枠内で報じている。

オリンピック出場権をかけてアメリカとメキシコが戦うと報じるNBCスポーツのサイト
オリンピック出場権をかけてアメリカとメキシコが戦うと報じるNBCスポーツのサイト

 アメリカ国内ではトップクラスのメジャーリーガーが出場したWBCでさえ日本と比べれば扱いが小さく、国民の関心も薄かっただけに、残念ながらマイナーリーガーだらけのプレミア12にはニュース価値がないと判断されている。それ故、アメリカのスポーツファンの大半はWBCは知っていても、プレミア12は知らない。

 「世界一を決める戦い」と日本では呼ばれているプレミア12だが、アメリカでは「東京五輪予選会」としか見られていないのが現状だ。