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メジャーリーグの落合博満氏?を直撃取材。ワールドシーリーズ・オブ・ボウリングで何を得たのか。

谷口輝世子スポーツライター
野球もボウリングもフォームが大切だという。レッドソックスのベッツ。(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

メジャーリーグ、レッドソックスのムーキー・ベッツ外野手(23)が昨年、12月に米国ネバタ州で開催された米プロボーラーズ協会のワールドシリーズ・オブ・ボウリングに出場した。

日本球界では落合博満氏がプロ野球選手になる前に、プロボウラーを目指していたことがよく知られている。

ベッツはボウリング好きの母親に連れられて、幼いときからボウリング場に通っていたという。高校時代には野球だけでなく、ボウリング部にも入っていた。プロ選手ではないが「趣味のボウリング」と言うほどシロウトではない。

しかし、ワールドシリーズ・オブ・ボウリングは、高校の試合会場とはレーン上のオイルの引き方が違うため、格段に難しいそうだ。しかも、戦う相手はプロのトップレベル。ベッツは初日はアベレージ200を少し下回る成績で、241人中122位につけた。しかし、本職ではないだけに、調子を維持することは容易ではなかったようだ。3日目には204位に転落した。

It's no gimmick: Mookie Betts impresses in first professional bowling tournamentレッドソックス担当記者がボウリング大会でのベッツについて書いた記事。写真アリ)

それでも、野球シーズン終了後からのわずかな準備期間を考慮すると、上出来と言えるだろう。

23歳のベッツはボウリング大会で学んだことを、どのように野球に活かしていこうとしているのか。

「ボウリングと野球は集中するということがよく似ている。ボウリングも投げるたびに集中していかなくてはいけない。野球だったら、ピッチャーは一球投げるごとに集中するし、バッターだったらピッチャーの投げる球に集中しなくてはいけない。4、5秒の集中と、それから、というところが似ている」

米国では高校時代にはアメリカンフットボールやバスケットボールと、野球をプレーしている選手は少なくないが、ボウリング部と野球部の掛けもちは珍しい。ボウリングと野球の間には、共通する身体の動きもあまりないけれども、ベッツはどのように感じているのか。

「確かに動きに共通しているところや似たところはない。ただひとつ共通しているところは、両方ともフォームが重要だということだね。正しいフォームでプレーすることで、勝つ確率が上がってくる」

ベッツはシーズン終了後の10月からボウリングの練習を開始した。オフシーズンはボウリングと野球のトレーニングをどのように割り振ってきたのか。

「野球のシーズンが終わってからボウリング大会までは、野球のトレーニングはほとんどしていない。ボウリングの練習中は野球選手としてはウェイトトレーニングのみ。ボウリングが終わって、完全に野球選手に戻ったのは1月に入ってからだね」

今シーズンのオフもまた、ボウリングの大会に出場する計画なのか。

「また、やりたいと思っている。とてもよい経験だったし、しばらくの間、野球から離れて気持ちを切り替えることもできるから」

実は、今季からレッドソックスに加入したエースのデービッド・プライスもボウリング好き。オフにはベッツとともにテネシー州で行われたセレブリティ・ボウリング・クラッシックに出場。プライスも「子どものときから好きだったしね」とのことだ。

スポーツライター

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情をお伝えします。著書『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのかーー米国発スポーツペアレンティングのすすめ 』(生活書院)『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店) 連絡先kiyokotaniguchiアットマークhotmail.com

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